次に売れるクルマは何か? どん底の日産が復活するための道筋:高根英幸 「クルマのミライ」(1/5 ページ)
EVの販売が伸び悩む中、日本国内ではミニバンやSUVが人気だ。特に、使い勝手の良さによって、シエンタなどのライトミニバンの人気が根強い。不調の日産は販売車種の再構築が必要だろう。判断力とスピードが求められる。
高根英幸 「クルマのミライ」:
自動車業界は電動化やカーボンニュートラル、新技術の進化、消費者ニーズの変化など、さまざまな課題に直面している。変化が激しい環境の中で、求められる戦略は何か。未来を切り開くには、どうすればいいのか。本連載では、自動車業界の未来を多角的に分析・解説していく。
案の定と言うべきか、EVの販売は世界中で伸び悩んでいる。EVはエネルギー効率に優れ、走行中は無公害という利点がアピールされ、先進国では補助金を投入して普及を促進してきた。だが、それでもEVを快適に利用できる環境のユーザーは限られており、誰もが想像通りの快適なEVライフを送れるとは言い難い状況だ。
急速充電の料金も上昇し、10年前と比べるとコスト面ではメリットを感じにくくなっている。そのため、積極的にEVに買い換えようというユーザーは減っている。
欧州メーカーのもくろみは外れてしまった。それだけでなく、ユーザーはハイブリッド車(HEV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)を求めており、現在EVに乗っているユーザーも、次回の購入時にもEVを選ぶという人はそれほど多くないようだ。あるアンケートによれば、それは4割程度であった。つまりEVオーナーが今後増えていくのは、なかなか難しい。
EVの先駆者でありながら、日産の業績が大低迷していることも、これが影響している。EV市場が順調に拡大していれば、中国メーカーの攻勢があっても、他のメーカーもEVで収益を上げられるはずだからだ。
乗用車の登録台数から日本国内での需要を考えると、残価設定クレジットの乱発で売れているアルファード/ヴェルファイア、営業用のコンパクトカーからSUVまでを含むヤリスやカローラなどを除けば、ミニバンやSUVの人気ぶりが見えてくる。
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