「千葉県版 時刻表」なぜ登場? 編集長が動かされた“いくつかの理由”:週末に「へえ」な話(2/4 ページ)
来年、創刊100年を迎える『JTB時刻表』が、初めて「地域版」を刊行した。東京でもなく、大阪でもなく、千葉である。なぜ、千葉なのか。なぜ、紙の雑誌なのか。編集長に話を聞いたところ……。
「千葉県版」は想定の3倍に
2024年3月のダイヤ改正で、JR東日本は京葉線の快速と通勤快速の運行を朝と夕方以降の時間帯で取りやめると発表した。ご存じのとおり、その後、沿線の自治体はご立腹に。ダイヤを見直すというドタバタ劇があったわけだが、一連の報道を受けて、『JTB時刻表』の梶原美礼編集長は、ふとこんなことが頭に浮かんだ。
「これほど大きなニュースになっているということは、千葉県の時刻表に興味を持っている人が多いのではないか。京葉線の始発『蘇我駅』では、朝のラッシュ時に乗り換えに苦労している人も多いので、詳しい情報を掲載すれば便利になるのではないか」と考え、地域版の実現に動き出したのだ。
と、ここで気になることがひとつ。売り上げとコストである。先ほど紹介したように、鉄道の時刻表はスマホを使えば、簡単に調べられる。スピンアウトの千葉県版を出したものの、売れなかったら損失を抱えることになる。こうした懸念に対し、梶原編集長はどのような手を打ったのか。
ECサイトで、プリントオンデマンドでの販売である。注文があれば印刷するという流れなので、基本的に在庫を抱えることはない。とはいえ、できればリアルの書店でも扱ってもらいたい。編集長自ら営業に回って、なんとか2店舗で置いてもらった。東京の神保町と秋葉原で販売することになったが、千葉県の書店では「残念ながら置いてもらえなかった」(梶原編集長)という。
千葉県に絞った時刻表は珍しいので、ファンの間で話題に。書店での販売は返本のリスクを抱えていたものの、想定の3倍ほどの注文が入った。
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