「医療用大麻ビジネス」は海外で右肩上がり 日本が参入する日は来るのか:スピン経済の歩き方(6/7 ページ)
12月12日に改正大麻取締法が施行され、注目が集まる「大麻ビジネス」。世界を見ると右肩上がりで成長しているが、日本の大手企業で参入しているところはない。今後はどうなるか――。
「医療用大麻」にかかる期待
がんで亡くなる人の場合、激しい痛みが続くことも多いし、がんによって腸が閉塞したことによる吐き気で苦しめられる。最近は「緩和ケア」ということで、オピオイドという痛み止め薬が処方されて痛みなく過ごせる人も増えたが、それで痛みが完全に消えるわけではない。つまり、「穏やか」と対極の形でお亡くなりになる方もまだ一定数存在するのだ。
現在、医療界ではさまざまな方面からどうにかこの「死の間際の痛み」を和らげる方法がないかと模索している。その中の一つの可能性として、「医療用大麻」が期待されている。
「医療用大麻には、オピオイドでは取り切れないような痛みが多少なりとも緩和できるのではないか、ということが、一つの可能性として言われています。また、抗がん剤の副作用として吐き気やだるさも軽くなるんじゃないかと言われていますね」(小川氏)
そう聞くと、気が早い人は「いいじゃないか! オレも亡くなるときは医療用大麻で穏やかに死にたいな」と思うかもしれない。だが、実はこの分野では高いハードルがある。「薬」としての医学的根拠がまだ確立されていないのだ。
「海外で医療用大麻が薬として確立しているのは、てんかん治療薬と、一部のがん治療中の副作用止めくらい。他の病気についても使われてはいるのですが、治療効果に関してはしっかりと検討されていないんですよ」(小川氏)
つまり、臨床的なエビデンスがほとんどないというのだ。日本はいざ知らず、欧米で「医療用大麻」がかなり以前から使われているのだから、ちゃんとした治験や臨床研究などが行われていそうなものだが、この問題は「大麻」の位置付けが関係している。
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