2015年7月27日以前の記事
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「褒められると不安になるんです」 優秀な部下へのフィードバックが難しいQ&A Z世代部下のマネジメント法

【Q】成果を出した部下にフィードバックをしようとしたのですが「褒められるばかりでは不安になる」と言われてしまいました。どうすれば良いでしょうか?

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Q&A Z世代部下のマネジメント法

 Z世代部下をマネジメントする上司の尽きないお悩みに、リクルートマネジメントソリューションズが回答します。

話を聞いた人:石橋 慶(いしばし けい)

リクルートマネジメントソリューションズ HRDサービス推進部 トレーニングプログラム開発グループ マネジャー

 2005年入社。ソリューションプランナーとして、幅広い業種・規模の企業に対し、人材採用・人材開発・組織開発の企画・提案を行う。2012年よりミドルマネジメント領域の調査研究およびトレーニング・モバイルラーニングの商品企画・開発に従事。


Q: 大きく成長し、成果を出した部下にフィードバックをしようとしたのですが「そんなに褒められても……」と反対に恐縮され「褒められるばかりでは不安になる」と言われてしまいました。どのような点に注意して、フィードバックを進めればよいでしょうか?

フィードバックをより効果的にするには

A: 効果的なフィードバックのポイントは、何を評価しているのかを具体的に伝え、次への期待と組み合わせること。また、他のメンバーへの影響も考慮しながら、フィードバックの方法を選ぶことが重要です。

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(提供:ゲッティイメージズ)

 フィードバックには「矯正的フィードバック」と「強化的フィードバック」の2種類があります。耳の痛いことを伝えて改善を促すのが矯正的フィードバック、優れた部分を褒めてうまくいっている状態を維持するように励ますのが強化的フィードバックです。今回のケースは後者に当たります。

 強化的フィードバックを行う際のポイントとして、まず「大勢の前で行う」というアプローチがあります。表彰などがその例です。ただし、褒められることに困惑する人もいるため、今回のケースでは良い方法ではないでしょう。その人の性格や特性を見極めることが大切ですね。

 より重要なのは、何が良かったのかを部下に具体的に伝えることです。「すごい」などの抽象的なフィードバックでは、部下も反応に困ってしまいます。「この案件では、自分で考えて新しいアプローチを取った。これは能動的な行動が課題だったあなたの成長にとって成長につながったのはもちろん、新しいアプローチを模索している会社としても有意義な取り組みだった」というように、具体的な事実を挙げることが大切です。

 また、今回のケースのように褒められると「これでいいのだろうか」と逆に不安になる人もいます。そういう人には、「これができたなら、次はこれにチャレンジしてほしい」「あなたならここまで行ける」といった、次の成長に向けた期待を合わせて伝えることが効果的でしょう。

 ここまでは個人をどう褒めるのかについて紹介しましたが、一方で、他のメンバーへの配慮も忘れてはいけません。例えば表彰の場合、表彰されなかった人が「なぜあの人が表彰されて私はされないのか」と感じ、モチベーションが下がったり、マネジメントへの信頼を損ねたりすることもあります。

 どういう形式で、どんな事柄に対して、どうフィードバックするのか。それによって周囲にネガティブな影響を与える可能性がないかも、マネジャーは考慮する必要があります。

 例えば「褒める」の代表例として表彰制度があります。マネジメント側は決して一部の人を優遇するために表彰しているわけではありません。会社の成長につながる行動を取ったメンバーの姿を、他の人にも参考にしてほしいからこそ、表彰を行うのです。

 例えば「褒める」の代表例として表彰制度があります。そのためにも、表彰を行う際は、具体的に何を評価しているのかを明確にし、期待を伝えることを必ずセットにする。これが、チーム全体にポジティブな影響を与えるための具体的なアプローチだと言えるでしょう。

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