東横線・幻の駅「新太田町駅」と、かつて「3つ」存在した神奈川駅:神奈川の「廃線」をたどる(3/4 ページ)
2004年1月末、横浜高速鉄道みなとみらい線との直通運転開始により、横浜〜桜木町間が廃止に。同時に横浜駅が地下に移設され、東白楽―横浜間の線路も地下化された。その線路跡は、今どのようになっているのか、あらためて歩いてみることにした。
3つも存在した神奈川駅
高島山トンネルを通り抜けた先には、かつて東横線の神奈川駅が存在した。1926年2月に東横線(当時は東京横浜電鉄)が、丸子多摩川(現・多摩川)−神奈川間で開業したときの終点駅であり、省線(現・JR東海道線)の神奈川駅との接続を図った。この東横線の神奈川駅も、省線の神奈川駅も後に廃止され、現存しない。どんな駅だったのだろうか。
まず、省線の神奈川駅は、1872年の新橋―横浜(現・桜木町)間の鉄道開業時に、途中駅として設置された駅である。場所は青木橋と現在の横浜駅の中間付近だった。しかし、その後、横浜駅が1915年8月に高島町へ移転(二代目横浜駅)し、さらに1923年9月の関東大震災で二代目横浜駅舎が焼失した後、1928年10月に三代目となる駅が現在の横浜駅の場所に開業。この三代目横浜駅との距離が近すぎたため、神奈川駅は廃止された。
東横線の神奈川駅は、1927年の地形図を見ると、当初は省線・神奈川駅のすぐ西側に設置されていたことが分かる。だが、開業から2年半後の1928年10月に省線の神奈川駅が廃止されると、高島山トンネル出口付近に場所を移された。その後、前述の新太田町駅と同様、戦時中に空襲で被災して営業休止後、1950年に廃止されている。
なお、京浜急行電鉄には、いまも神奈川駅が存在する。京急電鉄の神奈川駅は、1905年12月に京浜電鉄(現・京急電鉄)が神奈川まで延伸された際に設置された神奈川停車場前駅が、その起源である(後に神奈川駅に改称)。この当初の神奈川駅は後に廃止され、代わりに青木橋駅が京浜神奈川駅、さらに神奈川駅へと改称され、現在まで存続している。
さて、高島山トンネル出口から200メートルほど先で、「東横フラワー緑道」は終点になっている。東白楽駅からここまで、ゆっくり歩いても1時間もかからない。しかし、かつてはこの短い区間に、東白楽駅―新太田町駅(廃駅)―反町駅―神奈川駅(廃駅)―横浜駅とたくさんの駅が存在したのだ。
1927年時点の反町駅(中央上)から神奈川駅(中央下)の地形図。省線神奈川駅西側に東京横浜電鉄の神奈川駅、東側に京浜電鉄の神奈川駅および市電の停留場が見られる(出典:国土地理院地形図「神奈川」「横浜」を合成)
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