生成AI検索でSEOのビジネスモデルは崩壊するのか
2024年8月、GoogleのAI Overview(旧SGE)が日本に上陸し、検索の世界に新たな波が押し寄せました。しかし、この革新的な技術の登場にもかかわらず、従来のGoogle検索は依然として圧倒的な利用率を誇っています。
Google検索は1日当たり85億回以上の検索が行われており、その規模は生成AI検索をはるかに上回っています。一方で、ChatGPTは世界で1億8050万人以上のユーザーを獲得し、急速に普及しています。日本でも20歳〜69歳の約4割がAI Overviewを認知し、そのうち6割が使用経験があると報告されています。
生成AI検索の普及により、検索からのWebサイト訪問は減少すると予測されていますが、完全になくなることはないでしょう。ユーザーの一部は複数の情報源を確認する傾向があります。また、プラットフォーム側も著作権問題を避けるため、参考元サイトのURLを明記し続けると考えられます。
さらに、日本人の検索習慣は急激には変化しないと予想されます。生成AI検索が主流になるには、スマートフォンのデフォルト検索エンジンの変更など、大きな変革が必要でしょう。
SEOへのビジネス投資については、その重要性は変わらないと言えます。確かに、従来のSEO作業の一部は重要性が低下する可能性がありますが、クロール効率の良いサイト設計や質の高いコンテンツ制作は依然として重要です。
また、Googleが従来重視してきた「バックリンク」「サイテーション」「E-E-A-T」といった指標は、情報の信頼性を測る上で今後も重要な役割を果たすと考えられます。
つまり、SEOの形は変化しても、その本質的な重要性は変わりません。企業は引き続きSEO対策に投資し、変化する検索環境に適応していく必要があります。生成AI検索の台頭は、SEOのビジネスモデルを崩壊させるのではなく、むしろ新たな機会を生み出す可能性があるのです。
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