転職すれば“幸せ”になれる? それは「錯覚」です:人材ビジネス(1/2 ページ)
転職は、新しいスキルを身に付けたり、これまで経験したことのない業務に挑戦したりする機会を提供してくれます。一方で、転職によってすべての問題が解決されるわけではないことには注意を払う必要があります。
この記事は、水野臣介氏の著書『人材ビジネス』(クロスメディア・パブリッシング)に、編集を加えて転載したものです(無断転載禁止)。なお、文中の内容・肩書などは全て出版当時のものです。
「あなたのキャリアを正しく評価してくれる会社があります」「プロのエージェントがあなたの未来をサポートします」――聞き心地の良いキャッチフレーズのCMが、毎日流れてきます。
「転職すれば幸せになれる」という考えは、はっきり言って錯覚です。
確かにキャリアアップして新しい職場でのリスタートに期待を抱くことは自然なことです。しかし、転職が必ずしも幸せにつながるわけではないという現実を知っておくことが重要です。
まず、転職のポジティブな側面について考えてみましょう。
転職は、新しいスキルを身に付けたり、これまで経験したことのない業務に挑戦したりする機会を提供してくれます。また、より良い職場環境を求めて転職することでストレスが軽減され、仕事と日常生活のバランスの取れた健康的な働き方を取り戻すことができます。現在の職場で長時間労働やストレスフルな人間関係に追い込まれている場合、転職はひとつの解決策となりえます。
一方で、転職によってすべての問題が解決されるわけではないことには注意を払う必要があります。
まず、転職をする動機が「なんとなく今の職場がつまらないから」「友人が転職して楽しそうだから」といった曖昧なままでは、たとえ転職できたとしても、その後もあいまいな動機で転職を繰り返す可能性が高くなります。職場の人間関係が原因で転職しても、転職後の職場でも似たような人間関係の悩みに直面するというのはよくあることです。また、仕事に対する価値観や働き方に一貫性がない場合、次の職場でも満足感を得るのは難しいでしょう。
「転職すれば幸せになれる」という幻想を抱いてしまう背景には、現代社会の情報過多が一因として挙げられます。
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