転職すれば“幸せ”になれる? それは「錯覚」です:人材ビジネス(2/2 ページ)
転職は、新しいスキルを身に付けたり、これまで経験したことのない業務に挑戦したりする機会を提供してくれます。一方で、転職によってすべての問題が解決されるわけではないことには注意を払う必要があります。
SNSやインターネット上には、転職成功者のストーリーがあふれかえっています。彼らは転職をきっかけに年収が大幅に増え、キャリアも順調に進んでいるように映ります。しかし、これらの成功事例はコマーシャルであり、良い部分だけが切り取られていて、実際にあった転職後の苦労については語られていません。これは当たり前の話です。
しかし、今の仕事がうまく行かず精神的に不安定な時は、どうしても他人の芝生は青く見え、自分自身が進むべき道を見失って安易に転職してしまうリスクがあるのです。
さらに、転職後も新しい職場に適応するためには、多大なエネルギーと時間が必要です。新しい人間関係を築き、企業文化を理解し、仕事の進め方に慣れるまでには、場合によっては数カ月から1年以上かかることもあります。この過程で、予想していた以上のストレスを感じることもあり、逆に不満が増す場合もあるのです。
転職によって得られる幸せは一時的であることが少なくありません。
最初は新しい環境に対して興奮や期待感が高まるものの、しばらくするとそれらは薄れ、再び日常の業務に追われるようになります。このサイクルが繰り返される中で、「転職さえすれば幸せになれる」という錯覚は崩れます。
高度な技術を有する技術者やアナリストなどの中には、戦略的に短期間で転職を繰り返すことでキャリアアップをする人たちもいます。しかし、安易な転職を重ねるだけでは悪い意味の「ジョブホッパー」になってしまいます。
「石の上にも3年」という言葉は、約2000年前のインドの修行方法に由来したものとされています。いつの時代も「辛いことでもあきらめずに続ければ成果が得られる」という本質を忘れてはいけません。
著者プロフィール:水野臣介(みずの・しんすけ)
株式会社オーピーエヌ 代表取締役社長
人材派遣会社での勤務を経て業界専門誌「月刊人材ビジネス」発刊の前身となる出版社の株式会社オピニオンに入社。20年以上にわたり人材ビジネス業界の変遷をウォッチし続ける。2018年に「月刊人材ビジネス」を継承し株式会社オーピーエヌを設立、代表取締役社長に就任。現在は人材ビジネス業界向けに幅広い活動を展開している。
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