「北海道新幹線、札幌延伸はいつ?」 計画の遅れで自治体はがっかり、企業はやきもき 現地からのリポート(2/3 ページ)
北海道新幹線の整備が遅れている。札幌延伸は2030年度末までの開業が難しいとされており、周辺の再開発も中途半端な形でとどまっている。現地から状況をレポートする。
開業後の経済効果は好調も……
北海道新幹線の開業が、北海道経済に与える効果についてさまざまな試算がある。例えば、道がまとめた「北海道新幹線札幌延伸による経済波及効果調査」によると、建設工事では事業費約1兆5000億円の約1.7倍、約2兆5000億円の経済波及効果が期待されている。雇用創出効果でも約19万7000人を見込み、開業時期が早いほど税収が大きくなるとしている。
日本政策投資銀行(DBJ)の調査では、開業初年度の経済波及効果は推計で約350億円。当初試算していた136億円の倍以上となる効果をもたらしたことが明らかとなった。
このまま経済効果がうまく発現し、北海道新幹線が札幌に延伸した後も北海道経済が潤うことに期待があった。沿線自治体もまちづくりを通じ、まちおこしをしようとさまざまな計画を策定。並行して進んでいる工事の状況も良好なはずだった。
ところが、想定はとん挫することになる。2021年、羊蹄トンネルで岩塊が見つかり、約2年もの間、工事が停滞した。この件について、2022年に有識者会議が報告書を公表している。
報告書によると、2012年の着工から約10年が経過しており、着工後に生じた資材価格などの上昇、働き方改革への対応などで追加として約6450億円もの事業費が必要だという。トンネル掘削の中断などが影響し、工期が約3〜4年遅れている工区があるのも判明した。建設業界では従来から人手不足であり、加えて2024年4月から時間外労働の上限規制が開始されたことから準備に手が回らないとの懸念があったが、あらためて表出した形だ。さらに追い打ちをかけるかのように、札幌市が2030年冬季五輪の招致を断念している。
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