「函館新幹線」ついに公約へ! 想定ダイヤをつくってみた:杉山淳一の「週刊鉄道経済」(1/8 ページ)
4月23日の函館市長選挙で当選した大泉潤氏の公約は「北海道新幹線の函館駅乗り入れ」だった。この構想は3年前に本連載で紹介した内容とほぼ同じだ。しかし現在までの3年間で少し状況が変わっている。そこでフル規格新幹線車両の函館駅乗り入れ、分割、併結なしは可能か、ダイヤをつくって検証してみた。
2023年4月23日に行われた函館市長選挙で当選した、新人候補の大泉潤氏の公約が「北海道新幹線の函館駅乗り入れ」だった。この構想は3年前に本連載で紹介した「北海道新幹線の函館駅乗り入れ」とほぼ同じだ。
「北海道新幹線の函館駅乗り入れ」がいよいよ現実味を帯びてきた。そこでフル規格新幹線車両の函館駅乗り入れ、分割、併結なしは可能か、ダイヤをつくって検証してみたい。写真は北海道新幹線の車両にも使われているE5系(筆者撮影)
当時、私が発案者の吉川大三氏から資料を預かり「これはぜひ多くの人に知ってもらいたいから書かせてほしい」とお願いし、吉川氏からも「実現させたいから広めてほしい」と資料を託された。
【関連記事】北海道新幹線「函館駅乗り入れ」の価値とは? 80億円で実現可能、道内経済に効果(20年11月20日の本連載)
吉川氏は日本鉄道建設公団(現鉄道建設・運輸施設整備支援機構)のOBで、青函トンネル龍飛建設所の副所長を務めた。知り合ったきっかけも連載で書いた第2青函トンネルの記事だった。
【関連記事】世論は否定的? それでも「第2青函トンネル」が必要な理由(14年9月19日「杉山淳一の時事日想」)
この記事のなかで「シールド工法や沈埋トンネルで工費が下がるのではないか」と書いた。その後、私が注目していた「観光列車」について、日本建設業連合会から講演の依頼を受けた。その講演の冒頭で、「否定的な意見もあるけれど、第2青函トンネルをぜひ実現してほしい」と訴えた。その直後の懇親会で吉川氏が声をかけてくださった。当時は大手ゼネコンの顧問をされていた。
「あなたの第2青函トンネルの記事を読みました。でも、シールド工法や沈埋トンネルは難しいんですよ」と。私は建設業界のスピーチで釈迦に説法をやってしまったわけだ。そんな私に吉川氏は詳細な資料を提供してくださり、後にフォローアップ記事を書いた。
【関連記事】「第2青函トンネル」実現の可能性は? “2階建て”構想の深度化に期待(21年1月16日の本連載)
関連記事
- 次の「新幹線」はどこか 計画をまとめると“本命”が見えてきた?
西九州新幹線開業、北陸新幹線敦賀延伸の開業時期が近づいている。そこで今回は、新幹線基本計画路線の現在の動きをまとめてみた。新幹線の構想は各県にあるが、計画は「建設を開始すべき新幹線鉄道の路線を定める基本計画」として告示されている。これと費用便益比、各地のロビー活動の現状などから、今後を占ってみたい。 - ドラえもんがつくった地下鉄は公共交通か? ローカル線問題を考える
『ドラえもん』に「地下鉄を作っちゃえ」という話がある。のび太がパパのためにつくった地下鉄は公共交通と認められるか。この話をもとに、公共交通になるための過程、利用者減少から撤退への道のりを考えてみたい。 - 北海道新幹線「函館駅乗り入れ」の価値とは? 80億円で実現可能、道内経済に効果
北海道新幹線の函館駅乗り入れ構想に関する資料を入手した。現状、新函館北斗駅を新幹線駅とし、函館駅には直通していない。建設費80億円程度で乗り入れを実現する方法とは? 本州や札幌から新幹線で函館駅に行けるようになれば、経済への波及効果も見込める。 - 「第2青函トンネル」実現の可能性は? “2階建て”構想の深度化に期待
2020年11月、「第2青函トンネル」構想の新案が発表された。2階建てで、上階に自動運転車専用道、下階に貨物鉄道用の単線を配置する案だ。鉄道部分は輸送力が足りるか。急勾配も気になる。だが、新トンネルは必要だ。設計の深度化を進めて実現に近づいてほしい。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.