NECは1月14日、同社の社員が就職活動中の学生にわいせつな行為をしたとして1月8日に逮捕されたと発表した。同社は公式サイトで「社員が逮捕されたことは大変遺憾であり、被害に遭われた方や関係者の皆さまにおわび申し上げます」と謝罪し、事実関係を確認した上で厳正に処分するとしている。
2019年には大手ゼネコンの大林組の社員が、就職活動中の学生に対する強制わいせつの疑いで逮捕される事件も発生。採用活動における指針に対しては厳しい目が向けられている。NECは今回の事態を受け、学生が安心して就職活動をできるよう、採用活動指針を見直したという。
飲酒禁止、1対1での面会に制限 具体策は?
NECは今回の事件を受け、採用活動全般に関するハラスメント相談窓口を新たに設置した。同社は「社員が立場を利用し学生にハラスメントを行うことは決して許されない行為であり、採用活動指針を厳守し防止に努めていく」とコメントしている。
今回見直した採用活動指針の主な内容は以下の通り。
- 1対1での面会は会社施設もしくは大学構内のオープンスペース、オンラインに限定し、1時間以内とする(従来:個室での面会禁止)
- 対面での面会時間は平日午前9時から午後6時の間とする(従来:平日午後9時まで)
- 飲酒はいかなる場面でも一切禁止(従来:OB・OG訪問時は一切禁止。インターンシップ時は午後6時30分まで飲酒を伴う懇親会の実施可)
- 学生との連絡は会社のメールおよび携帯電話を利用し、個人のメールや携帯電話、SNSの利用は一切禁止(従来より継続)
- 面会時は面会方法、場所、時間、学生の氏名などを事前に上司および採用担当者に届け出ることとし、スケジューラに公開形式で登録(新規追加)
- 採用に関わる社員は採用活動指針にのっとった行動をする旨の誓約書を会社に提出(新規追加)
住友商事でも就活生との行動を制限
2019年に学生に対する準強制わいせつなどの疑いで社員が逮捕された住友商事では、OB・OG訪問の実施要領を策定して公開した。同社では、就活生との食事や飲酒は、いかなる場面でも一切禁止にした。
訪問自体も対面では平日の午前10〜午後6時に限定し、原則社内施設で行うこととしている。Webでの社員訪問対応時間も平日の午前8〜午後10時に限定。他にも「訪問予定をHR企画戦略部 フューチャータレントアクイジションチーム(人事)などに事前に届け出る」「訪問予定をスケジューラーに公開で登録する」「SNSを用いた就活生とのコンタクトは全て禁止する」といった制約を設けている。
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