営業の「ツラい業務」をAIが代行 AIエージェントがかなえる“営業3.0”とは
Algomaticは、営業特化型AIエージェント「ネオセールス」シリーズの連続リリースを開始した。第1弾として商談獲得AIエージェント「アポドリ」を展開。営業活動におけるアポイント獲得業務をAIが代行する。
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生成AI技術を活用したサービスを提供するAlgomatic(東京都港区)は、営業特化型AIエージェント「ネオセールス」シリーズの連続リリースを開始した。第1弾として商談獲得AIエージェント「アポドリ」を展開。営業活動におけるアポイント獲得業務をAIが代行し、効率的な商談機会の創出を可能にする。
AIと営業パーソンが分業する「営業3.0」とは?
少子高齢化に伴う労働人口減少を背景に、日本では人材不足が深刻化している。特に営業職では求職者が不足していて、2014年から2024年までの10年間で約35万人の営業職が減少した。
営業職の労働環境が過酷であるためか、4人に1人が1年以内に離職する状況だ。長時間労働や低賃金が主な要因として挙げられおり、今後も営業職の人手不足が続くと予測される。
同社は営業職の労働実態の根本的な改善を目指し、AIと営業パーソンが協働し、分業する営業モデル「営業3.0」を掲げた。生成AI時代における営業職の重要業務を「AIをマネジメントすること」と「顧客と接すること」に定義。その浸透を図るべく新規事業の開発に取り組んできた。
同社は、営業モデルの変化について次のように定義している。営業1.0では、営業担当者が顧客に関わる全ての業務を一人で遂行していた。次の営業2.0では、インターネットの普及に伴い、顧客の購買活動が複雑化したという。営業担当者は、顧客の購買プロセスごとに業務を分業するようになり、効率化が進んだ。
今回の営業3.0では、生成AIのビジネス活用が始まり、営業活動はAIと協働して分業できるようになった。生成AIは高ストレス業務の負担を軽減し、営業担当者がより効率的な商談機会の獲得に注力できるよう支援する。
ネオセールスシリーズは、営業活動のサポートに特化したAIエージェントだ。AIエージェントとは、人間の代わりにタスクを実行してくれるAIツールのこと。複数のアプリを自律的に使いこなすことで、人間が求める成果物の提供を実現する。そして、企業における営業組織を、同社の掲げる「営業3.0」へのアップデートするという。
今後はマーケティング、インサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサクセスといった各領域で、AIエージェントサービスを連続的に展開する予定だ。
第1弾のアポドリは、営業担当者がアポイント獲得の活動に集中するのではなく、AIエージェント(営業AI)が企業のインサイドセールスを担当する。リスト作成やアプローチ実行、活動管理、分析を一手に引き受け、顧客企業のキーパーソンとの商談を効果的に獲得・提供するサービスだ。
特に急成長中の企業では、営業担当者が日々数百件もの顧客へのアプローチをこなす必要がある。その膨大な業務量により心身ともに疲弊している状況が常態化し、深刻な経営課題として浮き彫りになっている。
実際、HubSpotの調査によると、日本の営業活動における無駄な時間を金額に換算すると年間1兆円に達し、営業担当者の61.3%が「直近1年間で燃え尽き症候群やメンタルヘルス不調を感じたことがある」と回答したという。
このような状況では、顧客のニーズやアプローチをしっかりと見極めることが困難であり、適切ではない顧客への営業都合の画一的アプローチが起きやすい状況にある。
アポドリは、GPTやClaude、Geminiといった最新の大規模言語モデル(LLM)を駆使して開発した営業AIモデルによって、顧客や商材を分析。まるで優秀な営業担当者のように営業活動を実行する。企業は営業担当者の採用数や努力に依存せず、売り上げを拡大できるという。
アポドリの特徴は、リスト作成・アプローチ実行・活動管理・活動分析といった、商談獲得に関わる全ての業務を遂行することだ。従来の営業支援ツールは個別業務に対応していることが多く、営業担当者が複数のツールを使いこなす必要があった。アポドリは営業プロセス全体をカバーし、従来の営業活動をAIが効果的にアシストするところに強みがある。
自社の営業プロセスに合わせたカスタマイズも可能で、AIは使用するほど品質が向上し、営業組織全体の営業力向上を実現する。個人データはAIに学習されることはない。従量課金制を採用しており、営業活動に応じて費用をコントロールできる。従来の営業支援ツールでは固定費が発生していた。だがアポドリでは、AIが実働した分だけ費用が発生し、事業状況に合わせたコスト管理が可能となる。
同社は、AI技術を駆使して企業の売り上げ増加を支援するサービスを展開。日本企業の企業価値向上を図ることで日本の国際競争力回復を目指す。
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