”幽霊”がおもてなし? ゴーストタウン再生のヒントは「心霊と一緒に暮らす」:スピン経済の歩き方(4/6 ページ)
地方だけでなく大都市でも人口減少が加速している日本。弱肉強食化する自治体の世界で生き残るためには――。
世界でも広がる「廃墟活用」
そんな荒唐無稽(こうとうむけい)な話が実現できるわけがないと思うだろうが、世界ではそういう「廃墟活用」はそれほど珍しくない。有名なところでは、米国のキャリコ・ゴーストタウン公園だ。ここは西部開拓時代にシルバーラッシュで大いに栄えた街だったが、銀山が閉鎖され1907年に無人の廃墟となった。
そんな無人の廃屋を、1940年代に実業家が買い取って「廃墟テーマパーク」にしたのだ。2025年現在も、人気の観光スポットとなっている。西部開拓時代の面影の残る廃屋を巡るツアーや、鉱山鉄道が人気だ。
また、イタリアのクラコという街は地震や土砂崩れで1980年ごろにゴーストタウンになった。しかし、「険しい山頂につくられた街」という独特の景観が人々を魅了して、映画『007/慰めの報酬』のロケ地にもなり、多くの観光客が訪れている。
このように海外で「廃墟」は立派な観光資源となっているという動かし難い事実がある。ならば、「心霊スポット」だって観光資源になってもおかしくない。
皆さんも子どものころに一度は「廃墟になったホテルや病院に幽霊が出る」とか「夜の廃寺で人魂が飛んでいた」みたいな話を聞いたことがあるだろう。廃墟の中でも心霊スポットというのは、人の好奇心を刺激して現地に向かわせる原動力になる。つまり、「観光資源」になるのだ。
それは日本人だけではない。海外では「幽霊屋敷」や「幽霊ホテル」が観光スポットとして人気を博している。米国や英国では心霊現象に詳しいガイドと巡るツアーが活況で、「心霊廃墟」に宿泊プランまであるのだ。
どのような街でも探せば、廃ホテル、廃病院など一つくらい心霊スポットがあるはずだ。これはゴーストタウン化が進んでいる地域は逆に有利だ。そこに加えて地域伝承や民話を調べてみれば、怖い話も見つけられる。それらをうまく組み合わせて、「心霊タウン」として地域おこしをするのだ。
そんなに都合よくいくかよと思うだろうが、実際にそういう自治体PRの例がある。「ローマ法王にコメを献上したスーパー公務員」として知られた高野誠鮮(たかのじょうせん)さんだ。石川県羽咋市(はくいし)の臨時職員だった高野さんは若いころにUFO関連のテレビ番組を制作していた知見と人脈を生かして、羽咋市を「UFOタウン」として売り出すことに成功した。地域の古文書に未確認飛行物体の記述があったことと、UFOの目撃情報が多いことを結び付けたのだ。
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