”幽霊”がおもてなし? ゴーストタウン再生のヒントは「心霊と一緒に暮らす」:スピン経済の歩き方(5/6 ページ)
地方だけでなく大都市でも人口減少が加速している日本。弱肉強食化する自治体の世界で生き残るためには――。
「廃墟活用」に否定的な声も多いが……
「自分の街の心霊スポットを売り出すなんて、そんなの住民が反対するので、できるわけがない」という声が聞こえてきそうだが、それはごもっともである。ただ、だからこそ「ブルーオーシャン」になっていることも分かっていただきたい。
日本ではこういう「廃墟活用」には安全性、住民とのトラブル、倫理的な問題などから否定的な声が多い。リスクを恐れる自治体は基本的に検討すらしない。ということは裏を返せば、「競合」はほぼいないので、この一線を踏み越えれば「大きなチャンス」になるかもしれないということだ。
しかも、これは日本のためになる。自国民がどんどん消える国で「内需」を維持するには、外国人観光客の消費に頼るしかない。
そこで課題となるのが「観光公害」だが、これはマナーだなんだという精神論では解消できないので、「ゾーニング」しかない。有名観光地に集中している外国人観光客を、日本全国に「分散」するように誘導するのだ。
そんな新たな観光スポットに、「ゴーストタウン化が進む自治体」はうってつけである。
これまで見てきたように、廃墟ツーリズムや心霊ツーリズムというのは海外では確立していることに加えて、いま「日本の村」は心霊コンテンツとしての価値が上がっているからだ。
映画『呪怨』などで海外でも「Jホラー」は高い評価を得たが、それが近年再び注目されているのが「村シリーズ」だ。『犬鳴村』『樹海村』『牛首村』など、都市伝説で語られる「山深いところにある村」を舞台にしたホラー映画が続いており、中には海外で公開されているものもある。
日本の観光スポットといえば以前は浅草や京都、富士山が定番スポットだったが、近年は外国人観光客の関心も多様化。長野県の野沢温泉村、白馬村、群馬県の嬬恋村(つまごいむら)など「村」に向かっている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
なぜフジテレビは失敗し、アイリスオーヤマは成功したのか 危機対応で見えた「会社の本性」
吉沢さんのCM継続を発表したアイリスオーヤマに、SNSで称賛の声が上がっている。危機管理対応としては契約解除が「正解」とされることが多いが、なぜ同社はこのような“神対応”ができたのか。その理由は……。
「47都道府県ピンバッジ」が人気 なぜ「群馬県」が断トツに売れたのか
地図を扱うゼンリンが都道府県のカタチをしたピンバッジを販売したところ、想定以上に売れている。47種類を販売して、どの都道府県が最も売れたのか。トップは……。
女性にドン引きされる「パーカーおじさん会社員」が増えた、ちょっと意外な背景
「職場のパーカーおじさん」はセーフかアウトか――。そんな議論が話題になっているが、なぜパーカーを着ている会社員が増えたのだろうか。その理由は……。
「辞めたけど良い会社」 ランキング ワースト30社の特徴は?
辞めたけれど良い会社は、どのような特徴があるのか。IT業界で働いた経験がある人に聞いた。

