西友の売却に見る「総合スーパー」の終焉 かつてダイエーと争った“王者”の行方は?:小売・流通アナリストの視点(4/6 ページ)
小売りの王様とされていた総合スーパー。生き残りをかけた変革が、今進んでいる…。
進む“食品+日用品特化”
西友に話を戻すと、その業績を回復させたのは、プライベートブランドの改良など、商品面でのブラッシュアップの影響もある。しかし、一番の大きな要因は、不採算店の閉鎖と非食品売り場のテナント化であったといっていいだろう。
この数年間で、西友も多くの店でリニューアルを行い、“食品+生活必需品”以外の売り場についてはテナント化を進めていた。リニューアルオープンの際には「食料品と日用品のスーパーに生まれ変わります」という看板を出していた。
例えば、2024年7月にリニューアルした西友平塚店(神奈川県平塚市)は、地下フロアを売り場面積5106平方メートルという大規模なホームセンターのカインズと100円ショップのセリアに転換した。2024年11月にはリヴィン田無店(東京都西東京市)もリニューアルしているが、カインズやドン・キホーテ、無印良品やブックオフなど、専門店が集積している。多くの店舗でテナント化を進めたことで、西友は“食品+日用品の店”として採算が確保できるようになったのである。
この話を聞くと、多くの方が今話題のあのスーパーを思い出すだろう。そう、北海道や東北から撤退し、クレヨンしんちゃんに登場する「サトーココノカドー」のモデルを含む多数の店舗を閉店したイトーヨーカ堂である。
イトーヨーカ堂の改善施策として公表されている、食品特化やアパレル撤退という目標も、前述の“食品+日用品特化”の延長線上にある。そしてそれは、総合スーパーが“食品+日用品特化”のスーパーとなり、非食品の部分をいかに消費者に支持されるテナントで構成できるかが生き残りのカギとなることを意味している。
疑問があるとすれば、こうした転換は地方ではすでに20年前から行われていたにもかかわらず、なぜ今ごろそんな話が出てくるのかということだ。この理由は首都圏と京阪神の立地環境が、その他の地域と異なることに起因する。
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