スタバVS.コメダ 日米コーヒーチェーン徹底比較で見えてきた立ち位置(6/6 ページ)
人気カフェチェーンのスタバとコメダ。実はこの2つは、同じ日本でシェアを拡大しつつも、絶妙にターゲットや店の目的が異なる。両者の特徴を見ながら、日本のコーヒーチェーンの現在地と未来について考えてみよう。
人口減少時代に求められるチェーンの「個性」
ここまで見てきたように、スタバとコメダはあらゆる点で対照的だ。そのため、しばらくの間は、この2つは完全な競合にはならないと思う。それは出店立地と顧客層にも表れている。
スタバは若い女性を中心とする顧客層が多く、出店で見ると東京に全店舗の約20%が集中している。その他は大阪、愛知、神奈川と大都市を有する街への出店が多い。一方、コメダ珈琲は地方や郊外を中心とする出店が多い。2020年のデータではあるが、顧客の平均年齢は46歳と日本の平均年齢と同等、つまりは高齢者が多めである。その意味でも、この2つはうまいこと直接対決を避ける構造になっている。
逆に今回取り上げなかったドトールはどうか。現在、カフェの数は飽和状態にあり、店舗数でもほぼ横ばいの状態が続いている。中でも店舗数を増やしているのがスタバとコメダであるが、逆にドトールは店舗数が減少している。言われてみれば、スタバやコメダに比べるとドトールはそのポジションが曖昧になりがちで、ターゲット層が分かりづらい。個性でいえば少し劣っているといえるかもしれない。
ただ、スタバとコメダが完全禁煙であるのに対し、ドトールは多くの店舗に喫煙ブースが付いている。そのため喫煙層の支持は厚い。ただ、ご存じのように喫煙者の数は年々減少している。さらに喫煙率と低所得者率は相関関係にあることが分かっており、客単価も上げづらい。ドトールはより明確な個性を出していかないと厳しい状態が続くかもしれない。
コーヒーチェーンに限らないが、さまざまな業態で飽和状態が起き、人口減少が進む現在、各店舗はその方向性を明確にしなければ厳しい時代が来ている。スタバとコメダの在り方は、そんな時代のコーヒーチェーンの姿を顕著に表しているのではないだろうか。
著者プロフィール・谷頭和希(たにがしら かずき)
都市ジャーナリスト・チェーンストア研究家。チェーンストアやテーマパーク、都市再開発などの「現在の都市」をテーマとした記事・取材などを精力的に行う。「いま」からのアプローチだけでなく、「むかし」も踏まえた都市の考察・批評に定評がある。著書に『ドンキにはなぜペンギンがいるのか』他。現在、東洋経済オンラインや現代ビジネスなど、さまざまなメディア・雑誌にて記事・取材を手掛ける。講演やメディア露出も多く、メディア出演に「めざまし8」(フジテレビ)や「Abema Prime」(Abema TV)、「STEP ONE」(J-WAVE)がある。また、文芸評論家の三宅香帆とのポッドキャスト「こんな本、どうですか?」はMBSラジオポッドキャストにて配信されている。
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