なぜ若い人は「黒ラベル」を選ぶのか サッポロの“1人2杯まで”の店が示した、お客の行動変化:火曜日に「へえ」な話(2/4 ページ)
「若者のビール離れ」が叫ばれて久しいが、サッポロビールの「黒ラベル」が好調のようだ。歴史があるブランドなのに、なぜ若い人たちに支持されているのか。そのヒントは、東京・銀座の店にあって……。
THE BARの客数・売り上げが伸びる
その昔、スーパーなどでよくビールの試飲が行われていたが、最近ではすっかり減ってしまった。未成年が飲んでしまうリスク、飲酒運転の防止、スタッフの確保にコストがかかるなど、さまざまな理由があるわけだが、確実にいえることがある。「体験」の機会が失われていることだ。
黒ラベルはどんな味なのか。それを知ってもらうために、サッポロはビヤガーデンや音楽フェスなど、さまざまな体験イベントを実施してきた。
そんな中で、個人的に気になっているのは、東京・銀座にある常設店「サッポロ生ビール黒ラベル THE BAR」(以下、THE BAR)だ。東京メトロ銀座駅と直結したビルの地下1階に店を構えていて、長いカウンターテーブルに30人ほどが入る立ち飲みスペースを設置した。
「ん? 他のビールメーカーも似たような店を運営しているよね。常設店というのは少ないかもしれないけど、店は大きくないし、それほど影響力はないのでは?」などと思われたかもしれない。ビールの年間出荷量に比べれば、この店で消費される量は“微々”たるものだが、それでも少しずつ少しずつお客との接点を重ねることで、ファンを広げているようだ。
THE BARがオープンしたのは2019年。その後、コロナ禍に突入したので満足のいく運営ができなかった期間もあるが、これまでのところ想定以上の結果がでているようだ。2019年の開業から2024年12月末までの累計客数は約34万人。客数と売り上げは順調に伸びていて、2024年はどちらも前年比10%ほど増えているという。
この店は「最もビールがおいしい瞬間はその日の1杯目。」というコンセプトを掲げていて、お客に提供するのは「1人2杯まで」としている。ビールは1杯550円、フードは380円から。銀座という土地柄を考えると、価格が安いこともあって、ちょっとふらっと寄って本格的なビールを楽しめる場として人気を集めているようだ。
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