コラム
なぜ若い人は「黒ラベル」を選ぶのか サッポロの“1人2杯まで”の店が示した、お客の行動変化:火曜日に「へえ」な話(4/4 ページ)
「若者のビール離れ」が叫ばれて久しいが、サッポロビールの「黒ラベル」が好調のようだ。歴史があるブランドなのに、なぜ若い人たちに支持されているのか。そのヒントは、東京・銀座の店にあって……。
お客の行動に変化
「新しいお客を増やさなければいけない」という課題はあるが、新たな発見もあった。それは、THE BARを体験したお客の行動変化である。
店を訪れた人を調査したところ、同社が「ライトファン以下」と定義する層の年間飲用量は144%に増加していた。また、来店後にファンになったかどうかの変化を見ると、コアファンが5%に、ファンが28.7%に、それぞれ増えていることも分かってきた(※)。
(※)THE BARに来訪したCLUB黒ラベル会員181人に調査。調査期間は2023年3月〜11月、2024年1月〜5月。
この数字について、黒柳さんは「広告を見てファンになるよりも、はるかに速いペースでファンが増えていると感じています。なぜこれほど速いのか。その理由として、“体験”の力が大きいのではないでしょうか」と見ている。
THE BARは銀座だけにとどまらず、全国に広がりつつある。2023年8〜9月にかけて、大阪と福岡にも期間限定でオープン。いずれも好調だったようで、今後は常設の2号店も検討しているという。
今回はTHE BARの事例を紹介したが、新たな体験を提供することで、ビールの魅力を再発見した人たちが増えているようだ。若者のビール離れが叫ばれているが、“おいしい”だけではなく、心が動く瞬間があれば、人はまたグラスを手に取るのかもしれない。
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