NVIDIA株“暴落”の裏で脚光の「ジェボンズの逆説」 AIコスト低下で投資ブームは続く?(2/2 ページ)
中国の低コストAIモデル「ディープシーク」の登場にもかかわらず、AI関連株ブームが続くとの主張を裏付けるために、欧州の投資家の間では160年前の経済理論に注目が集まっている。
新しい流行語
J・サフラ・サラシン・サステナブル・アセット・マネジメントのポートフォリオマネジャー、トマシュ・ゴジエク氏は、AIコストの低下はジェボンズの逆説の典型例となる可能性があるとの見方を示した。
「最終的には、これが新たなAI投資ブームを生み出し、特にソフトウェアや推論技術の分野で新たな機会を創出する可能性がある」と語った。
ライオントラストのグローバル株式チーム責任者マーク・ホーティン氏も、ディープシークショックによってAI投資に関する自身の見解がさらに強まったと述べ、ジェボンズの逆説に言及した。
アビバ・インベスターズのポートフォリオ・マネジャー、クナル・コタリ氏は「誰もがジェボンズの逆説の専門家になった」と語る。
英企業は主に生成AI技術の「消費者」であるため、AIによる生産性向上とコスト低下の恩恵を受ける公算が大きいと述べ、レレックス、LSEG(ロンドン証券取引所グループ)、エクスペリアンなどのデータやソフト関連企業のメリットが大きいとの見方を示した。
欧州のAI分野の投資は、データセンターとその膨大な電力需要を中心に進められてきた。
ノルデア・アセット・マネジメントのカスパー・エルムグリーン債券・株式部門CIOは「AIの普及と利用拡大には、ますます多くの半導体やデータセンターの容量と電力消費が必要になるという前提がある」と指摘。ディープシークはこの前提に疑問を投げかけ、より優れたソフトを開発することで何が実現できるかという問いを突きつけたという。
一方で、ジェボンズの逆説に懐疑的な見方も存在する。みずほEMEAのFICC戦略責任者ジョーダン・ロチェスター氏は、エヌビディアに対する強気派はジェボンズの逆説で安心感を得ていたが、エヌビディア株が急激に上昇した直後の短期的な状況では、この理論を用いて株価の上昇を正当化するのは説得力に欠けるとメモに記した。

Copyright © Thomson Reuters
関連記事
「日本なくしてNVIDIAはなかった」 フアンCEOが語った真意は?
NVIDIAのジェンスン・フアンCEOは都内で主催した自社イベントで「日本はこれまでテクノロジーの分野で遅れていたが、AIを活用すればリセットできる」と話した。「日本なくしてNVIDIAはなかった」と語る真意は?
NVIDIAフアンCEOが「1on1」をしない理由 “階層なき”組織運営は機能する?
半導体大手の米NVIDIAのジェンスン・フアンCEOは、上司と部下が1対1でミーティングをする「1on1」をしないことで知られている。世界で3万人超の従業員を率いているにもかかわらず、直属の部下であるリーダーシップ・チーム(日本で言う経営会議)は60人。その他には階層がないという。特異な組織運営をする狙いを、フアン氏が語った。
NVIDIAフアンCEOに聞く孫正義氏の「先を見通す力」 ASI実現への見解は?
米NVIDIA創業者でCEOのジェンスン・フアン氏は、ソフトバンクグループ会長兼社長の孫正義氏と対談した。ITmedia ビジネスオンラインはフアン氏に、孫氏が掲げてきた人類の1万倍の知能を持つ「ASI」実現のビジョンについて見解を聞いた。
孫正義「A2Aの世界が始まる」 数年後のAIは“人が寝ている間に”何をする?
ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長は、個人専用のAIが予定の管理や買い物などを代行する「パーソナルエージェント(PA)時代」が数年以内に到来するとの見方を明らかにした。
“孫正義流”ChatGPTの使い方とは? 「部下と議論するより面白い」
「部下と議論するより面白い」と株主総会で会場を沸かせた孫正義氏のChatGPTの使い方とは。
ChatGPT創業者が慶大生に明かした「ブレイクスルーの起こし方」
ChatGPT開発企業の米OpenAIのCEOが来日し、慶應義塾大学の学生達と対話した。いま世界に革命をもたらしているアルトマンCEOであっても、かつては昼まで寝て、あとはビデオゲームにいそしむ生活をしていた時期もあったという。そこから得た気付きが、ビジネスをする上での原動力にもなっていることとは?