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山手線が39年ぶりに運賃アップ、JR東日本が発足以来「初値上げ」の意味:杉山淳一の「週刊鉄道経済」(3/5 ページ)
JR東日本は2024年12月6日、2026年3月に運賃を値上げする旨を発表した。今回は1987年のJR東日本発足後、初の運賃値上げとなる。JR東日本が開業以来、なぜ税抜き運賃の値上げをしてこなかったか、なぜいきなり大幅な値上げを発表したかを考えてみたい。
物価と連動できなかった鉄道運賃
モノやサービスの値段を上げる理由として、まず「諸物価の高騰」が挙げられる。原材料費が上がり、燃料価格が上がり、人件費も上がる。「価格改定メールの書き方」などを参考にすると、「弊社でもさまざまな対策を講じて価格維持に努めましたが、現行の価格体系を維持できなくなりました」という発表になる。
例えばカップヌードルは、1971年の発売時は100円だった。JR東日本が発足した1987年頃の希望小売価格は140円で、現在は同236円(税抜)だ。ただし140円から236円へ、いきなり100円近く値上げしたわけではない。この間に5回の値上げをした結果だ。これは消費者物価指数の推移ともほぼ一致する。10円、20円と小刻みに値上げしてきたから、買う側にとってショックは小さい。子どもの頃は100円だったのに、いつのまにか236円になったという感想になる。
世の中のほとんどのモノやサービスは、小刻みに値上げしてきた。それに比べればJR東日本の「39年間据え置き」のほうが異常だ。その理由は鉄道運賃が国の監督下にあるからだ。値上げしたければ国の認可が必要で、国が納得する材料を示さなくてはいけない。
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