DeepSeek-R1とOpneAI「o3-mini」を徹底比較 性能面から見た賢い使い方は?:その悩み、生成AIが解決(2/4 ページ)
DeepSeekをユーザー視点で性能面などに注目した場合、どの程度使えるサービスなのだろうか? 同社の推論モデルDeepSeek-R1と、OpneAIの最新の推論モデルo3-miniを比較し、使いどころを探ってみた。
長いテキストの分析はどちらが得意?
続いて、本連載で過去に扱った「カスタマーサポートと顧客のやり取りの評価」も試してみた。チャット履歴のテキストを渡し、それに対して「顧客の本音」を推測してもらうものだ。
※関連記事:推論に強い「OpenAI o1」で“顧客の不満”を探れ CX向上に生成AIを生かす方法
【プロンプト】
以下はカスタマーサポートと顧客とのチャットでのやり取りです。問題が解決したにもかかわらず、チャット終了後のアンケートでは「やや不満」との回答でした。顧客が不満を感じた要因はどこにあると思いますか? それぞれのやり取りに対する「顧客の本音」を推測してください。
(以下、会話の文字起こし)
o3-miniが顧客の発言ごとの「本音」を回答しているのに対して、DeepSeek-R1は会話全体の総括のような内容を返してきた。「それぞれのやり取りに対する顧客の本音」という指示が正しく理解できていないことがうかがえる。
DeepSeek-R1の回答
- 顧客が不満を感じた要因と本音の推測:
1.【機械的な対応への不満】
本音:
「サポートの対応がマニュアル通りで冷たい。私の焦りや不安に共感してくれない…」
分析:
サポートが手順を淡々と指示する一方、顧客の心理状態(例:「確認の仕方がわからない」という不安)に寄り添う言葉(「お急ぎでしょうが、一緒に確認しましょう」など)が欠けていた。問題解決に必要な情報は提供されたが、人間味のあるコミュニケーションが不足していた。
2.【手順の煩雑さへの苛立ち】
本音:
「何度も設定を開いたりクリックしたり…面倒すぎる!もっと簡単にできないの?」
分析:
複数の操作ステップ(通知領域→設定→デバイス→Bluetooth→ペアリング)を要し、非技術者にとって負担が大きかった。特に「ペアリングモード」の手順が抽象的で、スピーカー側の操作に戸惑った可能性がある。
(後略)
OpneAI o3-miniの回答
以下は、各やり取りごとに顧客が内心感じた可能性のある「本音」を推測したものです。
1.顧客:
「こんにちは。…無線でPCに接続できなくて困っています。」
顧客の本音:
「急いで使いたいのにトラブルが起きて、正直焦っている。早く解決したいのに不安だ。」
2.サポート:
「PCのBluetoothはオンになっていますか?」
顧客の本音:
「え、そんな基本的なことを聞かれるなんて…私の使い方が下手なのか?もっと具体的な解決策を知りたい。」
3.顧客:
「たぶんオンになっていると思いますが、確認の仕方がわかりません。」
顧客の本音:
「基本操作が分からなくてちょっと情けないけど、早く教えてほしい。」
4.サポート:
「まず、PCの画面の右下…Bluetoothアイコンが表示されているか確認してください。」
顧客の本音:
「なるほど、でもややマニュアル的で、もっと具体的に『どうやって探すのか』説明してほしいな。」
(後略)
なお、DeepSeekについても、この後に追加指示で「会話ひとつひとつに対して、顧客の本音を出してください」と追加指示することで正しい回答が行えた。少し複雑な作業を行う場合などは、ていねいな指示を心がけるとよさそうだ。
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