生成AIで文章校正 精度を高めるプロンプトのコツは?:その悩み、生成AIが解決(1/2 ページ)
自分の文章をAIに手直ししてもらいたいとき、単に「この文章をチェックしてください」と指示するだけでは、思うような結果が出ないことも多い。今回は、基本的な使い方ながら意外と一筋縄ではいかない文章の校正やチェックについて、プロンプトのコツを紹介する。
連載:その悩み、生成AIが解決
アイデアが浮かばない、こんな無駄な作業なくしたい――。ビジネスパーソンを悩ませる日々のさまざまな困りごと、ChatGPTに聞いてみませんか? ITジャーナリストの酒井麻里子氏がプロンプトの書き方を伝授する。
Q.自分で書いた文章の誤字や内容のチェックにAIを使っていますが、精度がいまひとつです。精度を上げるコツはありますか?
自分の文章をAIに手直ししてもらいたいとき、単に「この文章をチェックしてください」と指示するだけでは、思うような結果が出ないことも多い。今回は、基本的な使い方ながら意外と一筋縄ではいかない文章の校正やチェックについて、プロンプトのコツを紹介しよう。
著者プロフィール:酒井麻里子(さかい・まりこ)
ITジャーナリスト/ライター。生成AIやXR、メタバースなどの新しいテクノロジーを中心に取材。その他、技術解説やスマホ・ガジェットなどのレビューも。著書に『趣味のChatGPT』(理工図書)、『先読み!IT×ビジネス講座ChatGPT』(共著・インプレス)など。Yahoo!ニュース公式コメンテーター。株式会社ウレルブン代表。XRと最新テクノロジーのWEBマガジン「TechComm-R」運営。
文章をAIでチェック おすすめのプロンプトの書き方は?
「この文章をチェックして」「よくない箇所を指摘して」のような雑なプロンプトを使用した場合、修正の不要な箇所に指摘が入ったり、逆に指摘してほしい箇所が見逃されたりしがちだ。精度を上げるためには、どこをチェックしてほしいのか、チェックが不要な部分はどこなのかをできるだけ具体的に記載する必要がある。
まずは指摘が不要な事項を<注意点>として挙げよう。注意点に記載する項目を洗い出すには、一度あえて「この文章をチェックして」のようなシンプルなプロンプトを入れてみるとよい。
例えば、本連載の過去の原稿を使って試したケースでは、「だ・である調」で書いている文章が「です・ます調」に修正されたり、意図的に使っている体言止めが適切でないと指摘されたりと、“余計なお世話”が多数出力された。そういった不要なものを箇条書きでまとめればよい。
続いて、チェックを行いたい箇所を記載する。おすすめは「文法」「表現」「内容」「読み手視点」の4つの方向からのチェックだ。早速プロンプトをみていこう。
【プロンプト】
このドキュメントは、テクノロジーについての解説コラムです。以下の<注意点>を守ったうえで、<チェック事項>の内容を指摘してください。
<注意点>
- 語尾を「です・ます調」へ直す必要はありません。
- 適度に体言止めを使うことは可能です。体言止めの箇所をすべて修正する必要はありません。ただし、使用数が多すぎる場合や、使う場所が適切でない場合は教えてください。
- 読者は、長い文章を読むことに比較的慣れています。そのため、文章を極端に簡潔にする必要はありません。
<チェック事項>
1.文法の誤りの指摘(文法)
2.日本語として不自然な箇所や、読みづらい箇所の指摘(表現)
3.事実誤認や、誤解を招く可能性の高い箇所の指摘(内容)
4.読者にとって、不足していると感じる情報の補足(読み手視点)
すると以下のように、4つのチェック事項それぞれについて、修正が必要な理由や、どのように修正すればいいのかが具体的に出力される。
【回答】
ドキュメントを精査した上で、チェック事項に沿って以下の点を指摘いたします。
1.文法の誤り
文法的な誤りはほとんど見当たりませんでした。ただし、一部の箇所で接続詞の繰り返しがあり、冗長に感じられる表現がありました。
2.日本語として不自然な箇所や、読みづらい箇所
- 「また、現在はベータ期間中ということで」という部分は「現在はベータ期間中で」というように簡略化できます。
- 「問題なく使えそうだ」「また、複数のものごとの相関図など」といった部分で体言止めが多用されており、リズムがやや単調に感じられる箇所もありますが、大幅な修正は不要です。
3.事実誤認や、誤解を招く可能性の高い箇所
- 「日本語対応を開始」「全機能無料」という点は、サービスの今後の仕様変更が読者にとって誤解を招く可能性があるため、「記事執筆時点では」といった注釈を加えると良いでしょう。
- 「作りたい図解が及第点で構わないもの」か「クオリティを上げて満点に近づけたいもの」とありますが、「満点」の表現が主観的で曖昧に受け取られる可能性があるため、「クオリティを上げて完成度を高めたいもの」といった表現に置き換えると、読者が意図を明確に把握しやすくなります。
4.読者にとって、不足していると感じる情報の補足
- 「Napkin AIの操作手順」について、基本的な手順は記載されていますが、操作画面の主要な機能の概要が少ないため、読者にとって具体的なイメージが湧きづらい可能性があります。特に「アイコンの差し替えや色変更」の際のUIの詳細があると操作イメージがより伝わりやすいでしょう。
- 「生成した図解の利用例」として、実際にビジネスシーンや資料作成時に有効なシナリオを1、2例ほど挙げると、読者がサービスの使いどころを把握しやすくなるでしょう。
以上の点を踏まえると、より読みやすく、情報価値の高い内容に仕上がります。
あとは指摘された箇所を確認し、修正が必要だと感じたものを反映すればよい。もちろん、全ての指摘をそのまま採用できるとは限らない。中には修正することで文意が変わってしまうケースもあるので、AIの“言いなり”になるのではなく、必ず自分で判断したうえで対応しよう。
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