「#ワークマン女子」改名は迷走か 背景に「フランチャイズならでは」の事情も?:小売・流通アナリストに聞く(3/3 ページ)
「#ワークマン女子」の「Workman Colors」への改名。小売・流通アナリストの中井彰人氏は、背景としてワークマンが抱える「フランチャイズ経営」特有の事情を指摘する。一体、どういうことなのか。
“一般向け拡大”の狙い
展開できる業態が作業服をメインに扱う「ワークマン」だけでは、1人のオーナーが複数店舗を経営するのには限界がある。当然ながら、限られたエリア内ではマーケットの規模にもまた限界があるからだ。しかし、一般向け商品を中心に扱う「Workman Colors」であれば、ワークマンと併存することができる。
これまでも同社は地方のロードサイドにおいて、プロ向け6割・一般向け4割の業態「ワークマンプラス」を拡大してきた。しかし、これは「一般向け商品」が売れることを確かめるための、いわば“試験的措置”のようなものだったのではないかという。
「一般向け100%」の業態である#ワークマン女子は都市部で成功を収め、路面出店にも手応えを得た。要は「一般向け中心」の店も、地方のロードサイド店で成立することが分かったのだ。
一方でワークマンに対しては、「従来の顧客である職人を軽視している」という声も高まっている。一般向けとしても、「プロ向け6割・一般向け4割」というワークマンプラスの業態は「中途半端だ」との見方もあるだろう。そこでコンセプトを明確化した店舗を強化することで、オーナーの複数出店を可能にする。ワークマンとしても、地方への出店拡大で売上増を狙う――。中井氏は、ワークマンの「女子店拡大」には、このような狙いがあったのではないかという。
「しかし、ここに読み違いがありました。女子店はファッション性が高く話題性があるので、出店した直後の売り上げは伸びるのですが、その後の落ち込みが大きかったのです。これはやはり、男性客の足の運びが悪いからですよね。その落としどころが、女子店を改名した『Workman Colors』だったのではないでしょうか」
この数年でワークマンが生み出したさまざまな業態は、同一エリア(特に地方)での複数店舗運営を可能にしている。女子店の拡大と「改名」の背景には、同社を支えるフランチャイズ店舗のオーナーを守るという意図もあるようだ。
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