「コメ高騰の犯人=中国人」にしたがるマスコミ 本当に“得”をするのは誰か:スピン経済の歩き方(7/8 ページ)
連日テレビでは「コメ高騰の犯人」が中国人だと報じているが、実はツッコミどころ満載のストーリーだ。なぜそう感じるかというと……。
なぜ国は米の輸出に後ろ向きなのか
まだまだ大きなポテンシャルがある分野なのに、なぜこんなにも米の輸出に後ろ向きなのか。ここからは筆者の勝手な想像だが、米の輸出を進めることで特定の人々が「損」をする可能性も考えられる。
例えば、農薬の問題だ。
食の安全などに意識の高い方はご存じだろうが、ネオニコチノイド系農薬は自然環境や人体への悪影響が指摘され、欧州や米国では使用が禁止・規制されている。一方、日本では現在も「評価中」とされ、コメの栽培にも使われている。
つまり、もしコメを世界に売っていこうとしても、国によってはこれがネックになってしまうのだ。
「そんなもんさっさと禁止にすりゃいいだろ」と思うだろうが、現実はそう単純ではない。国内ではネオニコチノイド系農薬は幅広い害虫に効果があって、しかも安全性も高いということで農家の生産性向上に役立っている現実もある。しかも、そんな規制強化をされたら「損」をする人たちがたくさんいるからだ。
その代表がJAと農薬メーカーだ。
JA全農のWebサイト内にある「農薬事業」のページを見ると、全農は農薬メーカーと「共同開発」「技術・情報品質管理」をしながら、農薬を仕入れて、全国のJAに流通させている。つまり、農薬ビジネスのプレーヤーだ。
例えば、ネオニコチノイド系農薬として知られる「ダントツ粒剤」「ベストガード」を製造販売している協友アグリという会社がある。ここは2004年に住友化学とJA全農が事業提携によって設立された会社だ。
こういう農薬プレーヤーからすれば、面倒な国際ルールを押し付けられるコメの輸出など「百害あって一利なし」かもしれない。
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