連載
「また高層ビルが建つのか」 再開発はなぜ「負」のイメージが強くなったのか(5/7 ページ)
東京や大阪など、大都市部で再開発が盛んにおこなわれている。その意図は何なのか、そして“良い再開発”と“悪い再開発”の差は何なのか……。
「国際競争力の向上」が都市再開発の目的に?
ここで留意したいのは、こうした流れで行われる再開発の目的だ。
端的に言うと、それは「国際競争力の向上」である。都市再生特別措置法の軸ともいえる都市再生基本方針には「都市再生基本方針は、我が国の活力の源泉である都市が、近年における急速な情報化、国際化、少子高齢化などの社会経済情勢の変化に的確に対応し、その魅力と国際競争力を高め、都市の再生を実現し、あわせて都市の防災に関する機能を確保することができるもの」でなくてはならないと明記されている。簡単に言うと、「強い日本」を作るということだ。
グローバル化が進む中、東京が国際的な都市としての立場を維持し、さらに発展していくためには、より強固なビジネスが都市に集まらなければならない。そのための再開発なのだ。これは、再開発を手がけるデペロッパー側の発言からも分かる。「国際競争力の強化」が大きく取り上げられているからだ。
森ビルの辻慎吾社長は「ヒルズを通じて、東京の磁力となり、国際競争力を高める都市づくりをめざす」と述べたと報道されている。また、東急不動産の公式Webサイトでは「私たちは、100年に一度といわれる渋谷再開発や、国家戦略特区に指定された竹芝エリアでの都市開発などを通じて、国際競争力の強化に取り組んでいます」と紹介されている。
こうした発言からも、現在進められている再開発は、激しい国家間競争を勝ち抜くことが目的となっていることが分かるだろう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
スタバVS.コメダ 日米コーヒーチェーン徹底比較で見えてきた立ち位置
人気カフェチェーンのスタバとコメダ。実はこの2つは、同じ日本でシェアを拡大しつつも、絶妙にターゲットや店の目的が異なる。両者の特徴を見ながら、日本のコーヒーチェーンの現在地と未来について考えてみよう。
突然、普通の街が観光地に! インバウンドが押し寄せる「ニッチ観光地」から考える日本観光のあり方
インバウンド増加で、ニッチな場所が「観光地化」している。それによる観光公害が発生する中、私たちに必要な考え方とは。
なぜ百貨店は正月に休むのか 「人手不足」説に隠れた各社の真意
高島屋や大丸松坂屋百貨店など、2025年に都内で元日営業する主要百貨店はゼロになった。要因として人手不足が挙げられがちだが、それだけではない。
単なる「ブーム」ではない カプセルトイ専門店が爆増する背景にある「コスパ」の正体
第5次ブームを迎え、業界全体が急成長している「カプセルトイ」。このブームを支えているのが「カプセルトイ専門店」だ。爆増するカプセルトイ専門店は、なぜそこまで人気があるのか? 今後もこの勢いは続くのか?
