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東海地方の雄・バロー、スーパー激戦区の関東に進出へ 「十分に勝算あり」と言えるワケ:小売・流通アナリストの視点(2/5 ページ)
東海地方を本拠地とするスーパーのバローが着実に存在感を増している。その成功の背景にはどんな戦略があるのか……。
買収先の手法を真似る
タチヤは名古屋の菓子問屋から八百屋を始めて、今は生鮮3品に特化している。当日仕入れた商品をその日のうちに売り切り、在庫は持たないというお手本のような生鮮特化型スーパーだ。とにかく鮮度が良くて安い、かつての市場そのものを今に再現したような店で、名古屋の市中などでは大繁盛している。
バローは、このタチヤを買収したにも関わらず、チェーンストア理論の権化であるバロー式の運営を押し付けていない。それどころか、バローの生鮮売場をタチヤ式に変更するという驚くべき決断をしたのだ。
現在のバローの戦略店舗はデスティネーションストア(以下、DS)と称するタイプなのだが、生鮮売場の鮮度と安さ、接客に可能な限りタチヤ式を再現しようとしている。このデスティネーションとは、その店の生鮮品を買うことを目的にしてもらえる店を目指しているという趣旨だが、実際この方式を導入した店が牽引して、一時低下気味であったバローの売場効率(売場面積当たりの売り上げ)は顕著に改善した(図表4)。
現在、新店の多くがDSタイプとなり、既存店も次々と転換を進めている。今では、元タチヤ社長が、グループのスーパー事業会社であるバローの社長に就任。会社を挙げて、タチヤ式の生鮮強化DS化を推進しているのである。バローの意気込みが、いかほどかご理解いただけるだろう。
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