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東海地方の雄・バロー、スーパー激戦区の関東に進出へ 「十分に勝算あり」と言えるワケ小売・流通アナリストの視点(5/5 ページ)

東海地方を本拠地とするスーパーのバローが着実に存在感を増している。その成功の背景にはどんな戦略があるのか……。

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バローが神奈川東部や都下で広まる可能性

 さらに言えば、その後、神奈川県の東部や都下(人口の合計は1000万人超)へと進んでいくことが予想される。これらのエリアは、老舗チェーンストアの同質化競争の舞台であり、バローのDSタイプをそのまま再現するならば、消費者に差別化をアピールできる可能性はかなり高い。

 神奈川東部の住人である筆者からすると、バローは地元のスーパーに比べてかなり斬新に感じる。また、この地域は市場余力が大きいことから、中小チェーンのシェアもかなり残っている。地域の一定比率の支持を得て、相応の商勢圏を築くことは間違いないだろう。ちなみに、東京23区内への出店は、出店コストが高いため後回しとなる可能性がある。

 バローが東海地方でその地盤を築けたのは、名古屋大都市圏で高い支持を得られたことにある。名古屋大都市圏は、車社会を前提とした地域だ。横浜市を起終点として、首都圏を環状に結ぶ国道16号線の内側の首都圏中心部とは移動手段が異なっている。首都圏周辺であれば、国道16号線周辺から外縁部が、名古屋大都市圏と近い暮らしをしている場であり、まさに神奈川県の西部や都下がそれに該当する。車で暮らす都市住民を得意とするバローは、関東のこのエリアでも適合できるだろう。

 このエリアでは元気な商店街が少なくなっているため、タチヤをはじめとする生鮮強化型スーパーの生鮮売場は消費者の関心を呼ぶ可能性が高い。個人的にも早く近所に出店してくれることを楽しみにしている。

著者プロフィール

中井彰人(なかい あきひと)

メガバンク調査部門の流通アナリストとして12年、現在は中小企業診断士として独立。地域流通「愛」を貫き、全国各地への出張の日々を経て、モータリゼーションと業態盛衰の関連性に注目した独自の流通理論に到達。


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