B2Bマーケターの残念な“勘違い” 「ホットリードへの固執」、何が危ない?(2/2 ページ)
「顧客起点」の重要性は、マーケティングのあらゆる場面で語られます。しかし「顧客起点」にこだわってパスしたはずのホットリードが、営業からはあまり歓迎されず、こちらが想像していた熱量でフォローアップしてくれない……。いわゆる、マーケと営業の「ズレ」のようなものが生まれることも多々あるのではないでしょうか?
営業×マーケのズレを解消する「根拠や仮説のある決め事」
これらは簡単な一例ですが、製品やサービスの市場におけるポジショニングと、顧客のタイプ、コンディションの掛け合わせで、無数の検討プロセスのパターンが存在します。アプローチの仕方に絶対的な正解が存在しない以上、MA上でマーケ組織が作った仕組みを、マーケター自身がより抽象化・汎用化して扱えるようにならないといけないと考えています。
その上でやるべきことは、想定される大まかなジャーニーのパターンを体系化し、それに対しての自社の成功シナリオや、逆にあまり好ましくないパターンや失敗例を言葉にして、部門横断で共通言語化しておくことです。
「このコンテンツに関心を示した顧客には、次にこのコミュニケーションをするといい」「この職種の方が興味を示した場合は営業が入りやすいのでスコアに関わらずいち早くアラートを上げよう」「このタイプの企業は、一定以上の動きがあるまではアクションしない」「こういう属性の顧客は現場へのアプローチは避けてトップアプローチから入った方がいい」──など、根拠や仮説のある決め事を作っておくことで、その後の部門間のエスカレーションの精度とスピードが劇的に上がっていきます。
ここでの注意点としては、営業視点での感覚をうのみにするのではなく、実際の商談の実績データやKPI指標をベースに議論すること。セールスプロセス全体の最適解を多角的な視点で作っていくことが重要です。
その結果、各役割が何を良しとし、どんな情報を求めていて、何を歓迎しないのか、明文化して組織の共通認識ができれば最高です。
まとめ
今回はMA上のスコアリングを例としてお話しましたが、例えばセミナー後のトスアップやDM施策のアプローチ選定からフォローアップ設計など、あらゆる場合において重要な視点だと考えています。
改めて、マーケターが意識すべきは、自分たちができる「顧客行動の可視化」はあくまで部分的なものであることを誰よりも理解し、その上で自社サービス・製品の“勝ち筋”や負けパターンを、営業部門全体と共通言語にして持っておくこと。その上で、汎用化・抽象化されたシナリオにハマりそうな顧客をきちんとした根拠とともに営業にスムーズにパスする仕組みを作ることだと考えています。
言葉にすると簡単ですが、非常に地道な取り組みです。対社内、対顧客のコミュニケーション1つ1つを大切に積み上げていくことが、組織に影響力を持てるマーケターに必要なことだと考え、筆者も日々業務に取り組んでいます。
筆者プロフィール:ヒガシナオキ
新卒でアイティメディア入社。大手IT企業のメディアを活用したB2Bマーケティングの企画設計・支援に従事し、2年目で全社MVPを受賞。
その後クックパッドで企業向けサービスの営業企画、マーケティング/IS組織の立ち上げとともに、企業向けメディアの立ち上げとそれを起点にした新規事業開発を担当したのち、エンタープライズ向けSaaS企業でマーケ責任者及びセールスプロセス改善に従事。イベントマーケ、コンテンツライティング、SalesForceベースでのマーケ〜営業までの仕組み作りなどが得意分野。
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