新リース会計基準「知らない」契約管理担当者は15.5% 経理とのコミュニケーションに懸念
新リース会計基準について、「内容を知っている」とした契約管理担当者は15.5%にとどまると、Sansanによる調査で分かった。
新リース会計基準とは、原則全てのリース取引を貸借対照表に計上することを義務付ける会計基準のことだ。4月から新リース会計基準の早期適用が開始され、2027年4月には対象企業への適用が義務化される。
自社のリース契約を把握し、新基準に該当する取引を識別するには、契約管理担当者との連携が不可欠だ。しかし、「内容を知っている」と回答した契約管理担当者は15.5%にとどまったことが、Sansan(東京都渋谷区)による調査で明らかになった。
経理と契約管理担当者 理解度に特に差があるのはどこ?
新リース会計基準について「内容を知っている」と回答した経理は42.8%だった。一方、契約管理担当者で「内容を知っている」とした人は15.5%にとどまり、経理との理解の差が明らかになった。
新リース会計基準適用に向けた対応の中で、特に時間がかかると思うものはどれか。経理と契約管理担当者ともに上位3項目は「契約がリースに該当するかの識別」(経理:44.5%、契約管理担当者:36.5%)「契約書の収集」(経理:34.4%、契約管理担当者:26.3%)「会計処理」(経理:33.2%、契約管理担当者:26.3%)と、相違ない結果となった。「契約書の収集」は経理では2番目に多く、34.4%に上った。一方で、契約管理担当者では26.3%と、3位にランクイン。経理の方が、より契約関連業務に手間がかかると認識していることが伺える。
新リース会計基準に対応するためには、契約がリースに該当するかを確認する必要がある。契約内容の確認方法については、「契約管理担当者に内容を確認」が最も多く、全体の54.0%を占めた。新基準適用に伴って、契約管理担当者への問い合わせの増加が予想される結果となった。
契約書のデータ化状況について、「全てデータ化できている」割合は17.1%にとどまった。また、締結済みの契約書のうち、データ化できているものは半分以下とした企業は48.6%に上った。Sansanは「契約書内のリースの識別や関連契約書の収集に多くの時間を要する可能性が浮き彫りになっている」とコメントしている。
調査は2月4〜10日にインターネットで実施。新リース会計基準の対象企業に勤める経理、契約管理担当者を対象とし、各600人から回答を得た。
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