ジーユーの新ライン「ユージー」って? 浮かぶファストリの戦略(1/5 ページ)
GUがファッションブランドのUNDERCOVERとの協業による「UG」の発売を発表した。その裏にある戦略とは一体何なのか。
著者プロフィール:金森努(かなもり・つとむ)
有限会社金森マーケティング事務所 マーケティングコンサルタント・講師
金沢工業大学KIT虎ノ門大学院、グロービス経営大学院大学の客員准教授を歴任。
2005年より青山学院大学経済学部非常勤講師。
ファーストリテイリング傘下のジーユー(GU)が、ファッションブランドUNDERCOVER(アンダーカバー)との新ライン「UG(ユージー)」を3月14日に発売すると発表した。
これまでの両社のコラボレーションは期間限定の企画が中心であったが、今回は「永続的な協業ライン」であることが大きな特徴である。ファーストリテイリングは、これまでユニクロをはじめ数多くのコラボレーションを手がけてきたが、永続的に続く形でラインを立ち上げるのは極めて珍しい。今回は、この背景にある狙いは何なのかを探っていきたい。
ファーストリテイリングによるコラボレーションの系譜
ファーストリテイリングは、ユニクロを通じて多数の著名デザイナーやブランドとのコラボレーションを実現してきた。その初期の代表格が、ジル・サンダーとのコレクション「+J」である。2009年にスタートした「+J」は、ハイファッションをリーズナブルな価格で提供する画期的な試みとして大きな話題を呼び、ファーストリテイリングがコラボレーション企画に積極的に取り組むきっかけともなった。
「+J」は2011年をもって第1章を終えたが、2020年には第2章が再開され、2021年秋冬を経ていったん幕を下ろした。その後、2025年初頭には再度復刻を果たすなど、今なお根強い人気を誇っている。「+J」は、高品質かつデザイン性の高いアイテムをユニクロ価格で提供するという成功事例を築き、ファーストリテイリングによるコラボブームの起爆剤ともなった。
この「コラボ企画」は、ファーストリテイリングが競合他社に対して一歩先んじるための戦略ツールとして確立してきた。「ユニクロ×UNDERCOVER」や「ユニクロ×クリストフ・ルメール」のように、一時的に完売が続くような反響を得たプロジェクトは枚挙にいとまがない。
しかし、ほとんどのコラボレーションは期間限定であり、継続的に展開されるケースは限られていた。今回、GUとUNDERCOVERが「永続的なコラボレーション契約」を結んだことは、ファーストリテイリングにとっても非常に珍しく、注目度が高い理由の一つである。
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