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結婚式費用の「透明化」、どう実現? 業界の常識を揺るがす、ブライダル3社の取り組み業界を超え、保険企業の成功事例に学ぶ(1/3 ページ)

今、ブライダル業界が大きく揺れている。ウエディングパークでは、今ウエディング業界に求められているのは「透明化」ではないかと考え、さまざまな取り組みを進めている。本記事では、ライフネット生命が実践する保険料の開示の取り組みのほか、ウエディング業界における「価格不透明問題」を解決するための費用シミュレーションサービスを導入している企業の生の声を紹介する。

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 今、ブライダル業界が大きく揺れている。

 帝国データバンクが発表した「結婚式場」業界動向調査によると、2023年度結婚式場の3割が赤字経営。全体の約6割で業績が悪化していることが分かった。

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帝国データバンク「結婚式場」業界動向調査より

 背景には、そもそもの婚姻数の減少や高齢化がある。また、結婚式を挙げない人や写真だけを撮る「フォトウエディング」で済ませる人、少人数での挙式を希望する人の増加など、結婚式に対する消費者の価値観が多様化したことも影響している。

 今後日本の人口は減少の一途をたどると予想されており、婚姻数の増加を見込むことは難しい。ウエディング業界は今後、ただ待っているだけでは立ち行かなくなってしまうだろう。業界全体を挙げた変革が求められている。

 結婚式場の口コミサイトなどを運営するウエディングパーク(東京都港区)では、今ウエディング業界に求められているのは「透明化」ではないかと考え、さまざまな取り組みを進めている。実際に同社の調査では、約8割が結婚式において「費用面での不安」を感じると回答しており、透明性の実現は業界にとって喫緊の課題となっている。

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約8割が結婚式において「費用面での不安」を感じると回答(提供:ウエディングパーク)

 ウエディングパークは3月6日、「日本の結婚式を変えよう」カンファレンスと題しイベントを開催した。セッションでは「お客様はなぜ今、企業に透明化を求めるのか」をテーマに、オリコンの顧客満足度調査の生命保険部門で1位を獲得しているライフネット生命保険と、ウエディング業界3社が業界を超え、企業の透明性に関して議論した。

 本記事では、ライフネット生命が実践する保険料の開示の取り組みのほか、ウエディング業界における「価格不透明問題」を解決するための費用シミュレーションサービスを導入している企業の生の声を紹介する。

保険料の内訳を開示 ライフネット生命から学ぶ「透明性」の実現方法

 ライフネット生命保険はオンラインで保険の相談、契約、申し込み、保険料の請求までを完結できることが特徴で、同社には「営業職員がいない」という。oricon MEが実施する「2025年 オリコン顧客満足度調査 生命保険ランキング」で1位を獲得するなど、顧客から支持を得る。

 同社は「正直に、わかりやすく、安くて、便利に。」をマニュフェストに、顧客本位の営業活動の実現に取り組んでいる。生命保険料の内訳を開示し、保険料に含まれる手数料が何%なのかを明示している。

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保険料の内訳を明記(ライフネット生命Webサイトより)

 ライフネット生命 上級執行役員の近藤良祐氏は、他社で保険料の内訳を明記している企業は少ないと指摘する。

 生命保険はかつて、生保レディーとも呼ばれた営業員経由の売り上げが8〜9割を占めていたが、現在は5割程度に減少。保険代理店や銀行での窓口販売、オンライン直販など売り方が多様化した結果、顧客の選択肢が増加したという。近藤氏は「営業員に相談したい人もいれば、ネットで簡単に契約したい人もいる。お客さまにもさまざまな考え方がある中で、選択肢が増えているのは良いことだと考えています」と語る。

 もちろん、保険料の内訳は隠した方が“有利”になることもあり開示しない選択もある。しかし近藤氏は「情報を開示しなくてはお客さまは選べません。お客さまが自分で考えながら購買行動をとれる状態を作ることが重要だと考えています」と、費用の透明性を高める必要があると強調した。

 「保険料の内訳を開示しても『顧客はその部分を重視していないよ』と指摘する声もあります。しかし、自分が支払った金額のうち手数料がどれくらいを占めるのか知りたいと考える顧客も存在する。『いないよ』で終わるのではなく、『そういう人もいるのかもしれない』と考え、自分たちの行動を変えていくことが重要だと考えています」(ライフネット生命保険 近藤氏)と業界特有の課題感を語った。

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セッションに登壇したライフネット生命保険 上級執行役員の近藤良祐氏(提供:ウエディングパーク)

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