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吉野家の「ラーメン」欧州1号店の反響は? なぜ牛丼ではなくラーメンを選んだのか「ばり馬」は通用するか(5/5 ページ)

吉野家ホールディングスがラーメン事業を加速させている。人気ラーメン店をグループ化して、「牛丼」「うどん」に次ぐ“第3の収益源”に育てていく方針だ。2024年10月には子会社のウィズリンクを通じて欧州に初進出、どんな反響があるのか。

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日本企業による「本場の味」が好評

 現在、オープンから約5カ月が経過したところ。業績を尋ねると「想定どおりの売り上げ」とのこと。

 「ラーメンが一番人気で、特にチャーシューが多くトッピングされたものが好まれます。欧州ではカレーライスも人気が高く、約15%の人がカレーライスを注文されますね。複数人で訪れて、日本の食文化に触れたい、ハレの日に特別な体験をしたいといった需要が強いので、誕生日パーティーを開く人もいます。平均滞在時間は約60分、客単価は約16ポンド(約3000円)です」(秋月氏)

 「海外だとラーメンを単品で頼む人は少なく、サイドディッシュなども一緒に注文して、やや長めに滞在するスタイルが一般的です。そのため、海外進出しているラーメン店は基本的にレストランのような感じで、客単価が1万円を超える高級志向の店もあります」(茅野氏)


エディンバラ店のお客は、最後の1滴までスープを飲み干す人が多いという

サイドディッシュを評価する口コミも見られた(写真はトマト味噌ソースがかかった餃子、7.4ポンド、約1420円)

 ネット上の口コミでは、「本格的でおいしい」と味を評価する声が目立つ。「ようやく本物の日本の味がエディンバラで楽しめるようになった」との声も。実際、スープを飲み干す人が多いという。エディンバラには現地の人が日本の味を模倣したラーメン店はあるが、日本で誕生したラーメンブランドの店舗は「ばり馬」が初めてだそうだ。

 一方、オペレーションが不慣れなためか、「待ち時間が長かった」「チャーシューが硬かった」といった不満もあり、座席が地下にあるので「最初は席があることに気付かずに通り過ぎてしまった」という人もいた。より分かりやすい案内が必要なのかもしれない。

 「現在の課題は、レシピどおりの商品を安定して提供すること。日系のラーメンレストランがエディンバラに初進出していることから、集客力は確保できています。宣伝より正しい味の再現性を高めるほうが重要で、それが事業成長に最も寄与します」(秋月氏)

 将来的にはグループシナジーを活用して、より低価格で高品質なラーメンの提供を狙う。現在は日本で製造したスープを輸送しているが、子会社の宝産業が持つフランス・パリの工場を活用すれば輸送費を削減できる。

 ご当地ラーメンをグループ化して世界へ。吉野家HDが思い描く未来の実現に向け、ウィズリンクでは2025年に欧州と中東を戦略エリアに据えている。エディンバラ店が軌道に乗れば、欧州展開に拍車がかかるかもしれない。

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