午後の紅茶「甘くない」商品を強化 ペットボトル紅茶=ジュースのイメージ、どう覆す?:プロダクトInsights
キリンビバレッジは3月18日、リニューアルした「午後の紅茶 おいしい無糖」シリーズを発売した。昨今、健康意識の高まりなどから無糖の紅茶が人気を集めていることを受け、無糖の商品群を強化する。
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日々リリースされる新しい商品やサービスたち。その商品やサービスには、必ず企業側の思惑や狙い、生活者のニーズ、時代の空気感が反映されている。本シリーズでは、これらの「Insight」を考察していく。
キリンビバレッジは3月18日、リニューアルした「午後の紅茶 おいしい無糖」シリーズを発売した。ストレートティー、ミルクティー、レモンティーの全3商品を展開する。昨今、健康意識の高まりなどから無糖の紅茶が人気を集めていることを受け、無糖の商品群を強化する。
3商品全てに「紅茶のシャンパン」と呼ばれるダージリン茶葉を使用した。紅茶らしい華やかな香りは維持しつつ、後に残る渋みを軽減。水や緑茶の代わりとして、日常的に飲めるすっきりした味わいに仕上げたという。
開発担当の長井美保氏によると、特に味が変化したのが無糖ミルクティーだという。これまでの無糖ミルクティーには、消費者から「水っぽい」という声が寄せられていた。そこで、ダージリン茶葉の他に、華やかな余韻とマイルドな渋みが特徴のディンブラ茶葉を追加したという。「無糖ミルクティーのすっきり感は保ちつつ、飲みごたえをアップできました」(長井氏)
キリンビバレッジは2011年に「午後の紅茶 おいしい無糖」を発売。緑茶やウーロン茶など他の無糖茶のように食事に合う味覚設計に変更し、紅茶はスイーツと組み合わせるものというそれまでのイメージを覆した。“食事にも合う本格無糖紅茶”として、発売年は当時の過去最高出荷箱数を達成した。
2024年の紅茶市場(販売数量)は前年比97%で着地した。ブランド担当の町田真優佳氏は「夏場の猛暑や、例年以上に暑さが長引いたことから、水や麦茶、緑茶といった止渇系飲料の需要が高まったからでは」と分析する。
町田氏によると、ペットボトルの紅茶は甘いイメージが強く、ジュースとして選択される傾向があるという。「華やかな香りやさわやかな後味という紅茶らしい上質感を押し出しつつ、甘くない紅茶があることをより訴求する必要がある」(町田氏)
そこでキリンビバレッジが着目しているのが「アイスティー」だ。同社は一昨年の夏から、暑い時期の飲み物としてアイスティーを訴求する取り組みを行っている。昨年、甘い午後の紅茶をアイスティーとして飲むプロモーションを実施したところ、商品の購入率が伸長した。今年は無糖紅茶を無糖のアイスティーとして訴求することで、売り上げ拡大を図る。
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