「すき家」は、なぜ2カ月も“ネズミ混入”を伏せたのか? 対応の遅れが招いた大炎上:スピン経済の歩き方(1/7 ページ)
すき家の「みそ汁」にネズミが混入していたこと認めたゼンショーHDだが、発覚から発表まで2カ月間もあったことで「陰謀論」が再燃している。危機管理のプロから見ると、これは不思議なことではなく……。
スピン経済の歩き方:
日本ではあまり馴染みがないが、海外では政治家や企業が自分に有利な情報操作を行うことを「スピンコントロール」と呼ぶ。企業戦略には実はこの「スピン」という視点が欠かすことができない。
本連載では、私たちが普段何気なく接している経済情報、企業のプロモーション、PRにいったいどのような狙いがあり、緻密な戦略があるのかという「スピン」をひも解いていきたい。
「ネズミ暴落」とでもいうべきか。
「すき家が味噌(みそ)汁の中にネズミの死骸が入っていた事実を2カ月伏せていた末に、ようやく認めて謝罪した」というニュースを受けて、ゼンショーホールディングス(HD)の株価が大きく下落した件のことだ。
「自分に非がある場合は迅速に謝罪すべし」というSNS時代の危機管理セオリーをガン無視するかのような驚きの対応に、「牛丼チェーンのトップ企業がこんなバカな対応をするわけはないので、この騒動には裏がある」といぶかしむ人も少なくない。結果、一度は収まっていた「陰謀論」が再燃している。
それは「何者かが株価操縦のために死んだネズミを店に持ち込んで、味噌汁にポチャンしたのではないか」というストーリーだ。
その根拠とされるのは、「すき家」のバイト経験者の皆さんが味噌汁調理のオペレーション的にネズミの死骸が混入するなど「あり得ない」と指摘したことだ。
すき家がプレスリリースで混入の事実を認める直前ということもあって、「X史上で最も間の悪い逆張りだな」と同情されていた。しかし、あまりに分かりやすい「ネズミ暴落」を目にして、「やっぱりなんか変だよね」とこれらの証言が再び注目を集めている。
ただ、実際に企業の異物混入騒動の対応に関わったことのある立場で言わせていただくと、「オペレーション的にネズミが入ることはあり得ない」という証言はかなり眉唾だ。
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