「すき家」は、なぜ2カ月も“ネズミ混入”を伏せたのか? 対応の遅れが招いた大炎上:スピン経済の歩き方(2/7 ページ)
すき家の「みそ汁」にネズミが混入していたこと認めたゼンショーHDだが、発覚から発表まで2カ月間もあったことで「陰謀論」が再燃している。危機管理のプロから見ると、これは不思議なことではなく……。
思い出される「丸亀製麺カエル混入騒動」
「丸亀製麺カエル混入騒動」のときもこの手の証言は盛んに取り沙汰されたが、丸亀製麺があっさりとカット野菜からの混入を認めたように、飲食店で虫、カエル、ネズミが混入することはちっとも「あり得ない」ことではない。「オレの働いていた店では」といくら訴えても、それはその店に限った話でしかなく、世界中の飲食店で無数に報告されている「典型的な食品リスク」だ。
なぜかというと、入室する際にクリーンルームを通らなくてはいけない半導体工場などと違って、飲食店は基本的に「オープン」だからだ。屋外から人間がバンバン出入りできて、道路、排水溝、天井裏から簡単に虫や小動物が入って来れる。いくら厨房がピカピカでも、味噌汁は真空パックで湯煎するだけでも、そこで働く人間が目視を怠れば、食品や食器に虫やら小動物が混入してしまう「死角」はいくらでもある。
例えば「食品の異物混入」が社会問題になった2014年、国民生活センターには1852件の相談件数があった。中でも「小動物の死骸、羽根、フンなど」は21件あって、外食・宅配事業でも2件起きている。これはあくまでセンターへの相談だけなので、企業や店側がその場で対応したものを含めたら、この数はもっと膨れ上がる。
しかも「すき家」は国内で1965店舗(2025年2月現在)もあり、店舗周辺の環境、厨房の衛生環境はバラバラだ。場合によっては、その店独自の動線やカルチャーもあるので、残念ながら「オレのバイト経験では」という体験談が残りの1964店舗全てに当てはまるわけではない。
ただ、それでもなお「味噌汁にネズミが入るわけがないので誰かの陰謀では?」と考える人は一定数いらっしゃる。彼らが根拠としているのは、「公表まで2カ月もかかるのはおかしい」ということだ。
この異物混入が起きたのは1月21日だ。鳥取南吉方店を利用した人が「たまかけ朝食」を注文したところ、そこで出された味噌汁に、黒い塊が浮かんでいた。撮影した写真を口コミとともにGoogleマップ上に投稿。その事実を「すき家」側がプレスリリースで認めたのは3月23日。丸々2カ月も寝かせている。
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