新卒2年目で新規契約達成率「全国1位」 弥生の25歳エースが実践した型破りな営業術:教えて!あの企業の20代エース社員(2/2 ページ)
2022年に弥生に新卒で入社した中島さんは、営業として2年目に新規契約達成率「全国1位」を達成した。裏にはどのような戦略があったのか?
「顧客を過度にリスペクトしない」 税務のプロから信頼を勝ち取るまで
契約獲得数が急増した背景には、もう一つ中島さんの特徴的な営業スタイルがあった。それが「顧客を過度にリスペクトしない」という原則だ。
「税理士や公認会計士という専門家に対する敬意から、意見を控えめに伝え、時に本来すべき提案を遠慮してしまうという営業を目にしていました。だからこそ、私は全力でぶつかろうと決めたんです」と当時を振り返る。
なぜ、あえて「遠慮なし」の姿勢を貫いたのか。その説明は実に理にかなっていた。「税理士事務所の経営者は、多忙な中で貴重な時間を割いてくれています。その短い時間を世間話で終わらせるのではなく、真剣勝負すべきだと考えました。もし嫌われても、それは仕方がないと割り切っていました」
税務の専門家相手に若手が勝負できる領域は限られているが、中島さんは自らの強みを見極めていた。「税務知識では専門家には及びません。しかしITやDX領域では私たちに優位性があります。その強みを生かした提案と、適切な情報提供に徹しました」と力強く語る。
中島さんのこうした姿勢は、デジタル化・DXに慎重な顧客の信頼獲得に効果的に働いた。専門性と誠実さを貫くことで、当初は懐疑的だった顧客との間にも確かな信頼関係を構築していったのだ。
「まずやってみる」が道を拓く 若手トップが描く次の船出
顧客と真剣勝負する中島さんの土台には、徹底した自己研さんがある。営業経験ゼロからのスタートで知識不足に直面した彼が選んだのは、合理的かつ戦略的な学習法だった。
メンターとの日次の1on1では「税理士の方から、こう質問されて答えられなかった」といった現場の課題を徹底的に解消。同時にYouTubeや動画学習プラットフォームのUdemyなどを活用して営業スキルを体系的に学び、それらを日々の実践で検証していった。
さらに、自身の学びを組織内で共有することを習慣にした。「Slackの営業チャンネルで成功事例や学びを投稿し、知識を定着させると同時に自分の存在をアピールしていました。リモート環境では誰がどんな仕事をしているか見えづらいので、意識的に発信し続けることで社内での存在感を増すという思惑もありました」
こうした日々の小さな改善に加え、「まずやってみる。弱音を吐いても、結果を出すためにコミットする」と話すように、結果につながる行動を重ね続けることの重要性を中島さんは認識していた。必要なアクションを見極め、それを愚直に実行し続けるからこそ、数カ月で結果を出すに至ったのではないか。
2024年4月からは営業企画部門に異動し、新規事業の企画に携わっている。「実は社会人3年目のタイミングで独立か転職を考えていましたが、現部署の上司から声をかけられ、弥生に残って新規事業に挑戦することを選びました」と中島さんは語る。
現在は会計事務所の課題解決に向けた新サービスの開発に従事。「今は小さな船に乗っている段階ですが、この経験を生かして将来は自分が船長となって新しい事業を企画したい」と意欲を見せる。営業での成功体験を糧に、さらなる高みを目指す25歳の挑戦は続く。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
LINEヤフー動画事業の27歳エース社員 「アプリDL数」前年同期比3倍を実現、その手腕は?
新卒から5年間、LINEヤフーの動画事業で奔走してきた27歳エース社員がいる。現在はLINE VOOMに携わっているが、新卒配属されたGYAO!では、新規アプリDL数を前年同期比で3倍にした。エース社員の手腕を取材した。
日立の29歳エース社員が考える「製造業の未来」 タイ赴任で見えた、自身の役割とは
日立製作所のエース社員が、アジア各国の製造拠点が集まるタイに赴任。そこで感じた日本の製造業の未来とは──。
富士通の27歳エース社員、1年目で花形部署に異例のヘッドハント 信条は「3カ月で成果出す」
新卒1年目で富士通のグループ会社に入社した寺島さん。まさかの1カ月で異動希望を提出し、現在は本社の花形部署で働く。新卒4年目の現在までにどのような経験を積んできたのか、取材した。
人材大手の内定辞退し、カレー店運営ベンチャーに入社 COOの離職で一皮むけた26歳のキャリア
人材大手の内定を辞退し、アルバイトをしていたカレー店を運営するベンチャー企業に入社を決めた。当時を「不安だらけだった」と振り返る26歳女性の等身大のキャリアを取材した。
「裸の王様だった」 サイバーエージェント新卒社長は挫折から何を学んだのか
新卒1年目に「社長」の役割を任せる企業がある。サイバーエージェントだ。新卒で子会社の社長となった若手は、当時を「裸の王様だった」と振り返ったが、何を学んだのか。同社の「任せる文化」に迫る。

