亀田製菓と赤いきつねの“騒ぎ”はなぜ広がった? 企業を襲う「1%の誹謗中傷」と新法の限界:スピン経済の歩き方(6/6 ページ)
4月1日に施行された「情報流通プラットフォーム対処法」は、企業の危機管理対策に活用できる可能性がある。具体的には……。
「情プラ法」を企業はどう活用していくか
というわけで、「誹謗中傷をする人」を新たに規制するような法律は、現実的になかなか難しい。そこで、プロパイダー責任制限法をちょびっと前に進めて、本来は「場」を提供しているだけのプラットフォーマー側に「迅速に対応」を義務付けることで、抑止力にしようと考えた。
多くの専門家は、今回の「情プラ法」は誹謗中傷対策として、それほど劇的な変化はないと考えている。プラットフォーマー側に「アナログな負担」を強いるだけで、問題の根本解決につながらないという意見もある。筆者も同感だ。
ただ、危機管理の世界でこれは大きな変化だ。これまで多くの企業ではネットやSNSでどんなに悪口を投稿されようとも、デマを流されようとも「静観」が基本だった。それらにいちいち律儀に対応してしまうと、「SNSごときにムキになって」と揶揄(やゆ)されたり、オールドメディアが取り上げて「ニュース」として大事(おおごと)になってしまったりするからだ。
しかし、亀田製菓や赤いきつねのケースを見ても分かるように、もはやネットでテキトーに語られていることもバズりさえすれば、そのままオールドメディアがニュースとして取り上げる時代だ。「危機管理は初動対応が命」という原則からも、「情プラ法」を活用して「迅速な火消し」を心がけていただきたい。
窪田順生氏のプロフィール:
テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで300件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。窪田順生のYouTube『地下メンタリーチャンネル』
近著に愛国報道の問題点を検証した『「愛国」という名の亡国論 「日本人すごい」が日本をダメにする』(さくら舎)。このほか、本連載の人気記事をまとめた『バカ売れ法則大全』(共著/SBクリエイティブ)、『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
丸亀製麺は“讃岐うどん”の看板を下ろしたほうがいい、これだけの理由
またまた炎上した。丸亀製麺が讃岐うどんの本場・丸亀市と全く関係がないことである。このネタは何度も繰り返しているが、運営元のトリドールホールディングスはどのように考えているのだろうか。筆者の窪田氏は「讃岐うどんの看板を下ろしたほうがいい」という。なぜなら……。
「ゲオのスウェット 658円」の衝撃 ペラペラなのに、なぜ「週に1万着」も売れるのか
DVDやCDをレンタルできる「ゲオ」の店内は、どうなっているのか。レンタル事業は縮小しているので、店内はテレビやゲームなどが並んでいるが、そんな中で「スウェット」が人気だという。その理由は……。
「年収700万円」の人が住んでいるところ データを分析して分かってきた
「年収700万円」ファミリーは、どんなところに住んでいるのでしょうか。データを分析してみました。
衰退するシャープは「日本そのもの」か “世界の亀山モデル”が失敗パターンにハマった理由
シャープが、テレビ向け大型液晶パネルの生産を2024年9月末で終了すると発表した。同社はまるで「世界の変化に対応できず」衰退していく「日本そのもの」のようだ。なぜかというと……。

