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「SaaS is Dead」時代のバックオフィスAI戦略――マネーフォワードの挑戦(2/5 ページ)
「SaaSの時代は終わった」――。マイクロソフトのサティア・ナデラCEOが放った一言が、ソフトウェア業界に衝撃を与えた。
マネーフォワードのAI戦略「Money Forward AI Vision 2025」
「マネーフォワードはNo.1バックオフィスAIカンパニーへ」――4月、辻庸介CEOは満を持して新たな戦略「Money Forward AI Vision 2025」を発表した。ほぼ全リソースをAIにシフトするという大胆な宣言は、「SaaS is Dead」の波が押し寄せる中での決断だった。
辻CEOが描くビジョンの根底にあるのは「DX(Digital Transformation)からAX(AI Transformation)へ」という大きな転換だ。「DXは人がITやクラウドを活用することによって業務を効率化する変革だが、AXはAIが自律的に動いて業務を変革していく」と辻CEOは説明する。つまり、人間がSaaSツールを操作するという従来のモデルから、AIがデジタルワーカーとなって自律的に業務を遂行する新時代の到来を見据えているのだ。
従来型SaaSでは人間がUIを通じて操作し、処理ロジックを経てデータが保存される。AIエージェント時代では、UIレイヤーがAIエージェントに置き換わり、人間は直接入力の手間から解放される。処理ロジックとデータは依然として重要な役割を担い、むしろその価値は高まる。UXは大きく変化するが、SaaSのコア機能は進化しながら残るというのがマネーフォワードの見解だ
この背景には、人手不足に悩む中小・中堅企業が抱える深刻な課題がある。デジタルツール市場(2.2兆円)からデジタルワーカー市場(13.3兆円)へと視野を広げることで、「人件費よりもこちらに投資したほうがいい」と顧客に思わせる価値提供を目指している。
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