倒産理由は「後継者がいない」 恐るべき“社長の高齢化”の実態
後継者がいないことにより事業の継続が困難となった「後継者難倒産」が相次いでいる。その背景には何があるのか。帝国データバンクが調査を実施した。
後継者がいないことにより事業の継続が困難となった「後継者難倒産」が相次いでいる。その背景には何があるのか。帝国データバンクが調査を実施した。
深刻な「社長の高齢化」 その実態
2024年度の後継者難倒産は507件に上った。集計を開始して以来最多であった2023年度の586件と比較して79件(前年度比13.5%減)減少したものの、2年連続で500件を超え、過去2番目に高い水準を記録した。
業種別で見ると、建設業が127件と全体の25.0%を占めた。建設業は他の業界と比較して労働環境が厳しいといった印象が強く、若年層から就業を敬遠される傾向がある。後継者候補となる人材が不足していることや技術伝承の難しさが、後継者難倒産が多い要因と考えられる。次いで製造業が88件、サービス業が87件で続いた。
中小企業庁が取りまとめた、民間企業による中小企業向けM&A成約件数は、2022年度には4036件、事業承継・引継ぎ支援センターによる件数は同1681件となり、いずれも増加傾向となっている。それでも後継者難倒産が相次ぐ背景には、深刻な社長の高齢化があると考えられる。
帝国データバンクの調査によると、2024年時点における社長の平均年齢は60.7歳となり、34年連続で上昇を続けている。また、後継者難を理由に倒産した企業における倒産時の社長平均年齢は69.8歳に達し、過去10年間にわたっておおむね70歳前後で推移していることが明らかとなった。
同社は「社長平均年齢が上昇し続けた場合、今後も後継者難倒産は高水準で発生する可能性がある。早いタイミングで後継者の選定・育成を進めることが望まれる」とコメントした。
調査の集計期間は2013年1月1日〜2025年3月31日。集計対象は、負債1000万円以上・法的整理による倒産。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
中小企業には「DXなんて無理」って本当? 現状を変える「BPaaS」の可能性
人手不足に悩む地方の中小企業。DX推進の必要性は理解しているものの、専門人材の確保が難しく、高度なITシステムの導入にも二の足を踏む──。「BPaaS」が、こうした企業の救世主になり得るかもしれない。
地方中小企業でも、年収アップ! DXで間接業務を9割削減、“昭和の工場”を変えた若社長の大改革
管理職の平均年齢は39歳にして平均年収は820万円と、地方製造業として高水準を誇るその企業の名前は、三共電機。会社を父から継いだ三橋進氏は、自ら業務アプリを開発するなどデジタル化を主導し、残業時間を減らしながら社員数は1.8倍、売り上げは約1.5倍に。「どうせ無理」と否定的な声が多かったという社内や、先代社長である父との“壮絶な親子喧嘩”を経て、どのように改革を進めていったのか。
「AI使いたくない」中小企業を“いつの間にか効率化”──弥生の新サービスに施された3つの工夫とは?
「AIと書いてあるだけで(難しそうで)イヤになる」中小企業の経理担当者や経営者に、意識せずともAIを組み込んだサービスを利用してもらいたい──。4月8日に正式リリースした「弥生会計 Next」で、弥生は何を目指すのか。


