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かっぱ寿司の食べ放題「食べホー」は、起死回生の策となるか? (3/3 ページ)

かっぱ寿司の食べ放題「食べホー」が人気だ。期間限定としながら、反響を受けてどんどんと延長している。人気の背景やかっぱ寿司の戦略を探る。

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期間限定ではなく「常設」にすべきではないか

 食べホーはかっぱ寿司にとって重要度が高いようで、かなり宣伝に注力している。公式WebサイトではYouTuberやインフルエンサーの撮影を受け付けており、YouTubeでもすでにいくつかの動画が公開されている。登録者数が100万人を超えるチャンネルでも取り上げられている。

 こうした実情を踏まえると、食べホーはかっぱ寿司にとって「実利」よりも「宣伝」目的が強いのではないか。ミスタードーナツが過去に行っていた100円セールのような類といえる。実際、有価証券報告書には食べホーについて「新規お客様にとっての来店動機の充実」という記載があり、新規顧客の取り込みを目的としている。

 冒頭の通り、かっぱ寿司はかつて国内トップの回転寿司チェーンだったが、ネタに力を入れるスシローや、レジャー性でファミリー層を取り込んだくら寿司、ゼンショーの資本力で勢力を伸ばしたはま寿司に抜かれ、4位に転落した。各社が発表する「好きな回転寿司ランキング」でも、他社に後塵を拝している。

 トップからの転落後に生まれたのが食べホーだが、思惑通り食べ放題で来店した客がその後もかっぱ寿司を選択するかは疑問だ。

 依然として「税別100円寿司」を提供するなど、安いメニューをそろえるものの、他チェーンでも同様の価格帯で商品を販売しており、突出した強みになり得ない。ネタやレジャー性でかっぱ寿司が他チェーンに秀でているわけでもない。

 一方で競合は定常的に食べ放題企画を出しておらず、食べホーは武器になりそうだ。常に実施していれば、それなりのコスパで「量」を食べたい客を取り込める。かっぱ寿司は差別化の一環として、食べホーを全店・全期間で対応し、常設メニューにすべきではないだろうか。

著者プロフィール

山口伸

経済・テクノロジー・不動産分野のライター。企業分析や都市開発の記事を執筆する。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー。趣味は経済関係の本や決算書を読むこと。 X:@shin_yamaguchi_


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