物流業務のアウトソーサー選定、なぜ失敗する? 失敗しないための評価基準を紹介:仙石惠一の物流改革論(2/2 ページ)
本連載では直近、物流業務のコスト削減や効率化を目指し、外部の企業に一部業務をアウトソース(委託)するための正しいステップについて確認してきた。今回は、公平公正なアウトソース先の選定方法について見ていきたい。
委託先管理はアウトソース成功のポイント
委託先が決まったら後はその会社にお任せ、というわけにはいかない。自社の要求に見合ったSQDCM(安全、品質、納期、コスト、マネジメント)のアウトプットを出してもらえているかどうかはしっかりと判断できるようにしておこう。
そのために委託先評価を実施していきたい。この評価は、委託先管理の一環として実施する。複数社に発注しているのであれば、この評価結果で将来の発注シェアを変えることも考えていこう。また成績優秀な委託先は年度末に表彰を行うなどしてモチベーション向上につなげてもらうとよいだろう。
この評価のための評価表も準備しておこう。この評価表を使った評価結果は委託先に開示し、レベルアップにつなげてもらおう。発注側のタスクとして委託先の改善のサポートがあることを知っておいていただきたい。このサポートは委託先の改善になるばかりでなく、自社にも改善効果が及ぶことになるからである。
委託先との定期ミーティングで物流力アップ
委託先と定期的にミーティングを行っている会社はそれほど多くはないかもしれない。しかし、この定期ミーティングは自社の物流レベルを向上する大きなトリガーとなる。
ではどのようなミーティングを行っていったらよいだろうか。それは主に以下のステップで進めるとよい。
(1)委託先選定時にお互いの改善目標を決定する。
- 自社が改善すべきこと、委託先が改善すべきことについて数値目標を定めることがポイント
(2)お互い協力し合いながら改善目標達成のための活動を進め、その進捗状況報告を行う。
(3)改善の期日が来たところでその効果について確認する。
(4)効果が目標値を下回ってしまった場合にはその対策を検討し実行する。
このように発注側と委託先が共同で改善活動を進め、その状況について定期ミーティングで確認していくことによりPDCAサイクルを回していくのである。
併せて、このミーティングで自社の生産状況などの情報を委託先に提供しよう。委託先が事前情報に基づいた効率的な業務運営ができる環境をつくることである。急激に生産が増えて物流業務に支障をきたした、などということを防ぐためにも、委託先への情報提供は極めて重要なのである。
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