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物価高で常態化「ステルス値上げ」 各社の悲しすぎる減量を追う(5/5 ページ)

物価高でも値上げに踏み切れず、価格据え置きで内容量を減らす「ステルス値上げ」に踏み切る企業が多い。今回はそうした事例をまとめていく。

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消費者のニーズを見定める必要がある

 このように各社が容量縮小というステルス値上げを実施している。以前は少し話題になる程度だったが、対象の商品は多岐にわたり、どんどん消費者を苦しめている。

 ちなみに、統計局が算出する消費者物価指数は内容量の改定に対応している。「ジャム」については、最も販売量が多い「瓶詰150g入り アヲハタ55 イチゴジャム」を基本銘柄としているが、2016年に以前の165グラムから150グラムに変更したため、統計局は調査価格に反映した。消費者物価指数は現在、2020年を基準とすると1.1倍という傾向が出ているが、シュリンクフレーションの影響もあると考えられる。仮に価格が変わらなくても、消費者にとっては、実質的に物価が上昇するという不利益が生じている。

 ステルス値上げに対して消費者が好印象を持つことはない。シャウエッセンのように値上げが客離れに直結する場合もあるため、メーカーの苦悩も理解できるが、過度に行えばブランドイメージの毀損を伴う。

 一方、近年では「コストコ」や「ロピア」といった、大容量の商品をそろえるチェーンが人気だ。総菜類で大容量品を出す「トライアル」も「西友」を買収するほどに勢力を伸ばした。こうした店舗は消費者の大容量ニーズに応え、人気を博したと筆者は考えている。一般スーパーでのシュリンクフレーションが続く限り、大容量店の人気は続くかもしれない。

著者プロフィール

山口伸

経済・テクノロジー・不動産分野のライター。企業分析や都市開発の記事を執筆する。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー。趣味は経済関係の本や決算書を読むこと。 X:@shin_yamaguchi_


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