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CFO就任を掴んだ「ある発言」とは──米ソフトウェア企業の新CFOが語るキャリア戦略

近年、CFOへの道は多様化しており、財務リーダーの役割も進化している。そんな中で、レストラン管理ソフトウェア企業の米MarginEdgeで新CFOに就任したエマ・ウェイラン氏は「私にとって効果的だったのは、チーム、上司、Cクラスに対する絶対的な透明性でした」と語っている。

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CFO Dive

 近年、CFOへの道は多様化しており、財務リーダーの役割も進化している。そんな中で、レストラン管理ソフトウェア企業の米MarginEdgeで新CFOに就任したエマ・ウェイラン氏は「私にとって効果的だったのは、チーム、上司、Cクラスに対する絶対的な透明性でした」と語っている。

CFOへの道を掴んだ「率直なセリフ」

 「『いつかCFOになりたいと思っています。どんなスキルを伸ばせばよいでしょうか?』と率直に伝えたのです」

 ウェイラン氏は、直近ではウェディング関連サイト米The Knot Worldwideの最高会計責任者(CAO)を務めていたが、プレスリリースによれば、4月にバージニア州アーリントンに拠点を置くレストラン向け管理・請求支払プラットフォームMarginEdgeのCFOに就任した。

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CFO就任への意思を率直に周囲に伝えていた(提供:ゲッティイメージズ)

オープンなコミュニケーションがキャリアの突破口に

 CFOを目指す過程で、ウェイラン氏はこれまでの上司やメンター、特に過去に勤めた企業のCFOたちと率直なコミュニケーションを重ねた。彼らの助言を受け、必要なスキルや専門性を磨くために、従来の会計業務の枠を超えたプロジェクトにも積極的にチャレンジしたという。

 「もし私がここまでオープンでなかったら、従来のCAO業務の範囲外のプロジェクトに関わる機会は得られなかったかもしれません」と、ウェイラン氏はインタビューで語っている。

 ウェイラン氏が本格的にCFOポジションを探し始めた直後に、レストランやホスピタリティ業界向けに請求支払や管理サービスを提供するMarginEdgeでの機会が訪れた。

 同社は、4月のプレスリリースによれば17億ドルの決済処理と2200万件の請求書処理を進行しており、大きな成長が見込まれている段階にある。

 ウェイラン氏はCFOとして、この成長を支えるための基盤づくりを主な使命としており、プレスリリースでは「ビジネスをスケールアップし、長期的ビジョンを支える高パフォーマンスな財務チームの育成」が彼女のミッションであるとされている。

これまでの経験が新たな成長ステージへつながる

 ウェイラン氏は、過去20年間にわたる財務・会計分野での経験を通じて、このポジションへの準備を重ねてきた。

 そのキャリアをKPMGスペインでスタートさせ、2013年にはThe Knot Worldwideが運営するウェディング関連サイトWeddingWireのアシスタントコントローラーに就任。当時のWeddingWireは、現在のMarginEdgeと成長ステージや売上規模、組織の大きさが非常に似ていたとウェイラン氏は振り返っている。

 WeddingWireが従業員規模を拡大し、グローバルビジネスへと成長していく中で、ウェイラン氏も財務部門内で着実にキャリアを積み上げた。

 2018年にWeddingWireがThe Knotを運営する米XO Groupと9億3300万ドル規模で合併した際、ウェイラン氏はCAOのポジションに就いた。

 この成長経験、そしてMarginEdgeにも同様の成長ポテンシャルを感じたことが、今回CFO就任を決めた理由の一つだという。さらに彼女は、アイルランドの家族経営のパブで育った経験があり、観光や宿泊業などを含むホスピタリティ業界には特別な親近感を抱いていたため、「まるで故郷に戻ってきたような感覚だった」と述べている。

 MarginEdgeでの主なミッションは、今後の成長に向けた基盤づくりだが、まずは「会社の仕組みを徹底的に理解すること」を重視しているとウェイラン氏は述べている。

 そのため、営業トレーニングを受講したり、営業の商談に同席して、同社がどのように製品を提案しているかを学んだりしているという。

 「最終的に私の役割は、将来の成長に向けたスケールアップだけでなく、社内のビジネスパートナーを支援し、日々のニーズに応えることです。会社の実態を正確に理解してこそ、より大きな価値を提供できると考えています」と彼女は語る。

 また、彼女は好奇心旺盛な姿勢とオープンなコミュニケーションの重要性を大切にしながら、成長戦略を描いている。特に、マクロ経済の逆風にも目を光らせつつ、MarginEdgeは2022年に4500万ドルのシリーズC資金調達を実施し、2024年3月にはオランダの飲料管理会社Freepourを買収するなど、成長へ向けた布石を打っている。

 「これまでの成功体験が、次の成長フェーズにそのまま通用するとは限りません。だからこそ、変革を起こし、未来に向けた舞台づくりをしていく必要があるのです」とウェイラン氏は強調している。

 ウェイラン氏は、成長目標達成のために「外部パートナーとの透明なコミュニケーション」も重視している。

 「取締役会、銀行、監査法人を含め、私たちと関わる全ての外部パートナーに対して、率直で透明性のあるコミュニケーションを取ることが、信頼と好意を得る近道だと考えています」と述べている。

視野を広げ、ビジネスの鼓動を捉える──エマ・ウェイラン氏が語る現代CFOに求められる資質

「会計のバックグラウンドを持っているからこそ、

本当に戦略的な視点、財務的な視点を持つために、視野を大きく広げなければならない」

──エマ・ウェイラン(MarginEdge CFO)

 ウェイラン氏は、CFOとしての初任務に就くタイミングで、この役割自体が進化していることを強く意識している。

 かつてCFOは主にバックオフィス業務を担う存在だったが、現在ではビジネス戦略を推進するキーパーソンの一人へと役割が変わりつつあり、この変化は財務部門全体にも波及している。

 「私は、企業内の財務部門全体を、単なるバックオフィスではなく、コンサルティブなビジネスパートナーだと捉えています」とウェイラン氏は述べている。

 財務機能そのものが進化する中で、CFOへの道筋も変わりつつある。

 新たな戦略的責任の増加と、会計人材不足により、トップ財務責任者への新たなルートが開かれている。

 ウェイラン氏は次のように語る。

 「今やCFOへの道は、伝統的な会計職を経るだけではないと思います。むしろ、会計職からCFOを目指す方が難しくなっているかもしれません。なぜなら、CFOに求められるニーズや期待が広がり続けており、非常に戦略的な視点が不可欠になっているからです」

 「アカウンティング出身者がCFOを目指すのであれば、視野を大きく広げ、戦略的・財務的な観点からビジネス全体を把握する力を磨かなければならない」と、彼女は強調している。

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