リーダーが信頼されない組織、なぜ? 4つの要因と対処法
人事部門のリーダーは、変化の激しい現代のビジネス環境において、組織の上級幹部(シニアリーダー)が従業員からの信頼を築く支援を行える――4月22日に発表されたガートナーのレポートはこのように指摘している。
人事部門のリーダーは、変化の激しい現代のビジネス環境において、組織の上級幹部(シニアリーダー)が従業員からの信頼を築く支援を行える――4月22日に発表されたガートナーのレポートはこのように指摘している。
信頼の欠如は、従業員のエンゲージメントや生産性に悪影響を及ぼす可能性がある。しかし、戦略的な取り組みにより信頼を強化すれば、こうした人材リスクを低減できることが報告されている。
「組織の成功において、信頼は極めて重要である。組織のシニアリーダーを信頼している従業員は、そうでない従業員と比べて、はるかに高いエンゲージメントを示す」と、ガートナーのHRプラクティス シニアディレクターであるネッド・フォイヤー氏は述べている。また、信頼の欠如は、多くの場合「情報を開示しないこと」「責任転嫁」「意思決定の撤回」などの幹部行動に起因していると指摘した。
リーダーが信頼されるために、人事部門ができる4つのこと
シニアリーダーが信頼を損なわないために、人事部門のリーダーが取るべき戦略的アクションは4つだ。
(1)従業員の信頼度を調査し、結果に対応する
人事部門のリーダーは、既存の従業員フィードバック施策(年次エンゲージメント調査やフォーカスグループなど)を活用して、信頼の実態を評価できる。評価結果は全従業員に対して透明性を持って共有し、信頼のギャップにどう対応するかを明確に説明すべきである。
(2)意思決定の透明性を促進する
人事部門のリーダーは、シニアリーダーに対して、各種意思決定の背景やその影響について説明するよう促すことができる。ガートナーによれば、リーダーが自らの決断について説明する場合、従業員はそのリーダーを4.3倍信頼する傾向があるという。特に不確実性の高い時期には、透明性がより重要となる。
(3)従業員とシニアリーダー間の対話を促進する
オープンな対話の場を設け、両者が共通の価値観を見出し、懸念点を共有できるようにする。ガートナーの調査では、従業員は自分の懸念に真剣に耳を傾けるリーダーを6.5倍信頼する傾向があるとされている。
(4)シニアリーダー向けスキル開発プログラムに投資する
感情知能(Emotional Intelligence)、積極的傾聴、倫理的な意思決定、効果的かつ透明性の高いコミュニケーションなどのスキルを開発するためのトレーニングを導入する。これらのスキルは、リーダーによる信頼損失行動を減らすうえで効果的であるとガートナーは報告している。
希望と信頼を求める従業員たち
ギャラップのレポートによれば、多くの従業員は、人生において最も影響を受ける存在として「マネージャー」「同僚」「組織リーダー」を挙げている。特に影響力のあるリーダーは、希望、信頼、思いやり、安定感を示すことで、従業員にポジティブな影響を与えている。
HR Diveの取材によれば、現在の従業員不信の背景には、「時代の不安定さ」と「かつてない状況に直面している」という感覚があるという。これに対抗するため、企業は「コーポレートバリュー」(企業価値観)に立ち返り、従業員の声に耳を傾け、共感的なリーダーシップを促進するべきだと専門家たちは提言している。
また、デロイトのレポートによれば、リーダーが「人間の持続可能性」(Human Sustainability)――すなわち従業員、顧客、社会全体に配慮する姿勢――を重視することで、組織のパフォーマンスは向上するとされる。これには、「従業員が企業にどれだけ貢献するか」ではなく、「企業が従業員にどれだけ貢献できるか」という視点の転換が求められる、とデロイトのエグゼクティブは述べている。
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