連載
「ホワイトすぎるから辞めます」って本当? 若者の退職理由に潜む、もうひとつの意味:スピン経済の歩き方(3/6 ページ)
「ホワイトすぎる」ことを理由に退職をする若手社員が増えているようだが、本当にそれが退職理由なのだろうか。退職者が離職理由を伝える本当の目的を考えてみると……。
「退職理由」の真の目的
そもそも、「会社を辞める人」からすれば、その会社に「本心」を全てさらけ出す義理などない。では、「退職理由」は何を目的としているかというと、スムーズに後腐れなく「縁」を切ることだ。
それは今の若手社員も同じだ。上司から「なんで辞めるんだ? 理由を言ってくれ」とつめ寄られて、「あんたみたいなさえない中間管理職になりたくないからだよ」とか「この会社にいても10年後の自分が想像できねえんだよ」なんて本音は口が裂けても言えない。そうなると「成長したい」「他にやりたいことがある」なんて感じの、どこかで聞いた「模範解答」をひねり出すしかないのだ。
実際、エン・ジャパンが転職サービス「エン転職」の利用者3780人に聞いた2024年の調査によると、退職した人の半数が退職時に本当の理由を「伝えなかった」と回答している。
これは冷静に考えれば当然だ。読者の皆さんも就職活動では「会社説明会を聞いて営業の仕事に興味があります」「創業者の理念を見て共感しました」など、マニュアルに書いてある模範解答を言っていたはずだ。会社に入るときも、出ていくときも「本音」を明かす人のほうが珍しいのだ。
そういう「若手社員の退職の現実」を踏まえれば、若手の「ホワイトすぎるので辞めます」といった退職理由も、話半分に聞いておくくらいがちょうどいい。
令和の時代、退職する会社と一刻も早く縁を切りたい若手からすれば、この「退職理由」は引き止められるリスクゼロの最強カードだからだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
「JALとANA」どこで違いが生まれたのか? コロナ禍を乗り越えた空の現在地
インバウンド需要が旺盛で、日本の観光業界が盛り上がりを見せています。では、航空会社の業績はどうなっているのでしょうか。JALとANAの決算をベースに分析したところ……。
「年収700万円」の人が住んでいるところ データを分析して分かってきた
「年収700万円」ファミリーは、どんなところに住んでいるのでしょうか。データを分析してみました。
7割が「課長」になれない中で、5年後も食っていける人物
「いまの時代、7割は課長になれない」と言われているが、ビジネスパーソンはどのように対応すればいいのか。リクルートでフェローを務められ、その後、中学校の校長を務められた藤原和博さんに聞いた。
「辞めたけど良い会社」 ランキング ワースト30社の特徴は?
辞めたけれど良い会社は、どのような特徴があるのか。IT業界で働いた経験がある人に聞いた。
【マナー】風邪をひいた上司に一言 「お大事にしてくださいね」はアリ?
上司が風邪をひいた場合、どう言えばいいのか。「お大事にしてくださいね」はアリ?


