AI競争は「Googleの圧勝」で終わるのか? Gemini 2.5 Proの衝撃(3/3 ページ)
米国のテック系人気ユーチューバーの何人かが、こぞって「AI開発競争はGoogleが勝利した」という見出しの動画をアップしている。これでGoogleの勝利が決定したのかどうか分からないが、少なくともOpenAIの首位独走の時代は終わったのかもしれない。
Googleの「勝利」は一時的なものかもしれない
これらの要素が複合的に作用し、人気ユーチューバーを始め多くのユーザーが、GoogleがAI競争でリードを奪ったと考えているのだろう。
しかし、一方で、より慎重な意見や批判的な見解も存在する。あるRedditユーザーは、調査、推論、創造的な出力を含むタスクでChatGPTがGemini 2.5 Proを上回ったと報告しており、別のユーザーは、Gemini 2.5 Proは「コーディングには優れているが、他のすべては平均的」であると述べている。またモデルの不安定さや、Web検索やツール使用に関する問題を経験しているという報告もある。
さらに、Gemini 2.5 Proは強力なベンチマーク結果を示しているものの、一部の人は、ベンチマークが操作されている可能性や、実際のパフォーマンスは異なる可能性があると主張している。また、大規模なコンテキストウィンドウは強力な機能だが、実際にその全体を効果的に活用するのは難しいという課題も指摘されている。
加えて、OpenAIをはじめとする競合他社も黙って見ているわけではない。OpenAIは開発者の要望に応えたGPT-4.1をリリースしたし、AnthropicもClaudeシリーズで着実に進化を続けている。AI技術の進歩は非常に速く、今日のリードが明日も続くとは限らない。
AIの世界の変化は速い。Googleの「勝利」は一時的なものかもしれない。引き続き最先端の開発競争を注意深く見守っていく必要がありそうだ。
本記事は、エクサウィザーズが法人向けChatGPT「exaBase 生成AI」の利用者向けに提供しているAI新聞「『AI競争はGoogleの勝ち!?』 米テック系ユーチューバーが絶賛する新モデル」(2025年4月14日掲載)を、ITmedia ビジネスオンライン編集部で一部編集の上、転載したものです。
著者プロフィール
湯川鶴章
AIスタートアップのエクサウィザーズ AI新聞編集長。米カリフォルニア州立大学サンフランシスコ校経済学部卒業。サンフランシスコの地元紙記者を経て、時事通信社米国法人に入社。シリコンバレーの黎明期から米国のハイテク産業を中心に取材を続ける。通算20年間の米国生活を終え2000年5月に帰国。時事通信編集委員を経て2010年独立。17年12月から現職。主な著書に『人工知能、ロボット、人の心。』(15年)、『次世代マーケティングプラットフォーム』(07年)、『ネットは新聞を殺すのか』(03年)などがある。
© エクサウィザーズ AI新聞
関連記事
OpenAIアルトマンCEOが考える AI時代の「覇権を取る3つの要素」
AI時代の覇権をめぐる戦い方が目まぐるしく変化している。OpenAIのCEOのSam Altman(サム・アルトマン)氏が最新のインタビューで、AI時代に覇権を取るのに必要なのは最先端のモデルではなく、数十億人のユーザーを抱えるサービスだという考えを明らかにした。
DeepSeekにどう対抗? OpenAIやAnthropicが戦略転換を迫られる3つの理由
中国製のAIモデル「DeepSeek R1」のリリース以来、コストパフォーマンスの良い中国製AIモデルが次々とリリースされている。このコスパの良いモデルの攻勢は、OpenAIやAnthropicといった米国を代表するAIモデルにどのような影響を与えるのだろうか。
『スマブラ』『カービィ』生みの親に聞く ヒット作を生み出し続けるマネジメント
『星のカービィ』『大乱闘スマッシュブラザーズ(スマブラ)』の「生みの親」、ゲームクリエイターの桜井政博さんに、ゲーム作りにおけるノウハウや、ヒット作を生み出し続けるマネジメントについて聞いた。
AI時代の電力危機に挑む 東北大の半導体技術と人材育成
セミコン・ジャパンにおける東北大学国際集積エレクトロニクス研究開発センターの遠藤哲郎教授・センター長の講演を基に、東北大学が進める半導体技術の研究と人材育成の取り組みに焦点を当て、その最前線を紹介する。
日立「モノづくり実習」に潜入! 新人データサイエンティストの製造現場「奮闘記」
日立製作所が2021年から展開している新人研修プログラム「モノづくり実習」。実際に実習に参加した新進気鋭のデータサイエンティスト2人に聞いた。
シャオミ「リアル店舗」に注力 副社長が明かすイオンモール川口出店のワケ
小米技術日本(シャオミ・ジャパン)は4月5日、国内2店舗目となる直営店「Xiaomi Store イオンモール川口店」をグランドオープンした。3月にはイオンモール浦和美園店にも同様にXiaomi Storeを開店させるなど、出店を加速している。その狙いは何か。同社の取締役副社長鄭彦(テイ・ゲン)氏に聞いた。
就活生の注目企業 3位「Sky」、2位「アクセンチュア」、1位は?
大企業を中心に初任給を大幅に引き上げるニュースが相次ぐ中、2026年卒の就活生はどんな企業に注目しているのか? OpenWork(東京都渋谷区)が調査結果を発表した。
「NECのイベント」に富士通社員も登壇 オープンイノベーションに本腰を入れたワケ
NECが、オープンイノベーションに本腰を入れている。NEC Open Innovation Nightには富士通の社員も登壇。同社の取り組みの真意に迫る。

