総務は「ラクそう」は大間違い 知ってほしい、不安とジレンマ:「総務」から会社を変える(2/4 ページ)
総務パーソンが抱える“見えない苦労”の数々と、そこから見える総務という職種の「守られなさ」。今回は「総務をどう守るか」という視点で、総務という職種の重要性とその支援の在り方を考えてみたい。
板挟みで苦しむ総務
そもそも、会社の存在なくして社員の存在もない。これは真実である。会社が倒れたら元も子もない。そういう意味では「会社を守る」というのは経営としては実行していかなければならず、それは総務パーソンも理解しているだろう。
板挟みの苦しみは、経営の都合を優先したものだと気付いたメッセージを、そのまま社員に流してしまうことによる葛藤から生まれる。当然、メッセージを受け取る社員も「これは会社のためだ」ということに気付いてしまう。
だますわけではないが、総務はこの会社の本音を社員向けのメッセージに変換することが求められる。例えば、アルコールチェックの義務化。煩雑な作業に、そして現場からの抵抗に頭を悩ませた総務パーソンも多いはずだ。
「法律だから、必ずやってください」
「飲酒事故を起こしたら、会社へ大きなダメージを与えてしまうのですよ」
このメッセージでいく限り、社員は理解はしても、少なからず反発を生むこともあるだろう。こうした場合、社員に自分事をしてもらうメッセージや、自分に投影したときどうなるかをイメージできるようなメッセージに変換したい。
「車両事故で被害者になることはもちろん、加害者になるとこんなにも大変な事態になるのです」
「社員が被害者、加害者にならないようにするために、この制度があるのです」
総務が行うことは、会社からのメッセージを必ず背負うことになる。そのメッセージを「全ては社員のためである」と変換して伝えることで、板挟みの葛藤が少なくなるケースもあるはずだ。
社員個々の働きが組織の成果となり、その集積が会社の成果となる。これもまた真実だ。経営層が考えていることも「真」であり、社員が感じることも「真」である。それを取り持つ存在が総務であり、経営層と社員、それぞれに寄り添った、飲みやすい薬のようなメッセージに変換していきたい。
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