ユニクロもニトリも“しゃべって売る” なぜ「朝6時配信」のライブコマースが人気なのか(4/6 ページ)
TikTokの参入や大手企業の活用で、ライブコマース市場が再び注目を集めている。中には成約率16%超、朝6時から配信する例も。“しゃべって売る”手法がECの常識を変えつつある。
エンタメとセールスの絶妙なバランス
配信で特に重視するのが、エンターテインメント性と販売要素のバランスだ。セールスに寄りすぎると配信が単調になり、視聴者が離れていく。一方で、エンタメに偏ると、楽しいだけで購買につながりにくい。
同社の取締役で、「ぞうねこちゃんねる」のライブコマーサーを務める熊田佳奈氏も「見ている人を巻き込む工夫をしている」と語る。視聴者が参加できるクイズやゲーム、配信スタッフ同士の掛け合いを取り入れることで、「見ていて楽しい」と「買いたくなる」を両立させている。
また、アフィリエイトやインフルエンサーマーケティングとは違い、ライブコマースでは高いアドリブ力が求められるという。台本を用意せず、コメントや質問などのリアルな反応に対応しながら進行していく点が大きな特徴だ。
事前に編集した完成コンテンツを一方的に発信するのではなく、ライブコマースでは視聴者の反応に応じて、その場で疑問に答えることで信頼関係を築き、購買につなげることができる。
2024年10月には朝6時からのライブ配信を開始し、売上増につなげた。「ぞうねこちゃんねる」は、2万人を超える大規模配信を複数回実施。平均総視聴者数は、朝配信前の6581人から、配信開始後には1万294人へと増加した。
アヒルのライブマーケットは、100日連続で朝配信を行う企画を実施。前月比で新規顧客数が約5.5倍に増加した。「朝配信での商品購入は単価も高く、売上増の大きな要因」と佐々木氏は手応えを語る。
一方で、成長分野であるからこその課題もある。特に、業界が新しいことから経験者が少なく、配信者の育成に時間がかかるという。
また、配信プラットフォームの仕様変更への対応も挙げられる。SNSのアルゴリズムや規約変更が頻繁に行われるため、リスク分散から複数のプラットフォームを活用する戦略が求められる。
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