三井住友カードとPayPay「対立から大連立へ」 キャッシュレス後半戦、決済データ起点のビジネス創出へ(2/2 ページ)
長らくライバル関係にあったはずのクレジットカード大手とQRコード決済最大手が、突如として「大連立」を宣言した。三井住友カード、ソフトバンク、PayPayの3社は5月15日、デジタル分野における包括的な業務提携で合意した。
キャッシュレス競争の新たな局面
日本のキャッシュレス決済比率は2024年に政府目標の40%を超え42.8%に到達した。この成熟フェーズに入った市場における提携を、大西社長は「後半戦」と表現した。これの意味するところは、単なる決済手段の普及競争から、決済データを活用した新たな付加価値創出による戦略への転換だ。
三井住友カードは取扱高39兆円、加盟店向けstera端末47万台、会員数3900万人という規模に成長。この膨大な決済データに、ソフトバンクの持つ人流データや通信データを掛け合わせることで、大西社長が「マーチャントビジネスへの進化」と表現する戦略を推進する。「決済にとどまらず、DXサービスや顧客分析ツールの提供、自社会員による集客支援など、事業者にプラスになる取り組みを幅広く提供していきたい」との意向だ。
三井住友カードの取扱高は2018年の16兆円から2024年には39兆円へと2.4倍に拡大。また、三井住友カード(含Olive)は年間500万人の新規会員を獲得し、決済端末steraは47万台を突破、Olive自体も570万アカウントを達成。特に買物取扱高の伸びは、決済データの蓄積につながり、今回のソフトバンクとの提携によるデータビジネスの基盤となっている
この動きは、銀行・決済サービスとIT企業の連携という国内の大きな潮流の一環でもある。昨年来、みずほフィナンシャルグループと楽天グループも連携を進め、みずほ銀行はGoogleとも戦略提携を結んでいる。楽天は金融とEC、通信を一体化した経済圏を構築し、NTTドコモはd払いを軸に決済からポイント、ヘルスケアまで幅広いサービスを展開している。
SMBCグループとソフトバンク・PayPayの「銀行×通信×決済」の新たな連合は、既存の競争構図に一石を投じる形となった。大西社長は「キャッシュレス後半戦」を「使い方が変わってくる」と表現し、「単純にカードやコード決済を使うだけではなくなる」と展望する。決済の先にある生活やビジネスのあらゆる場面に価値を提供できるプラットフォームとなることが各社の目標であり、キャッシュレスは単なる支払い手段から、より広範な経済活動の基盤へと進化していく可能性を示している。
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