「グルテンフリー」ラーメン、「プラントべース」ブラックモンブラン……大阪・関西万博で“意識高い系”店舗が狙うのは?:長浜淳之介のトレンドアンテナ(2/5 ページ)
さまざまなグルメが話題になっている「大阪・関西万博」。今回は、その中でもサスティナブルなテーマを掲げる“意識高い系”の店舗たちに焦点を当てる。
「未来型」スシロー万博店の特徴とは?
スシローの万博店舗は「未来型」と称し、通常の店舗とは異なった養殖魚、特に陸上養殖をメインに据えた店となっている。コンセプトは「まわるすしは、つづくすしへ。―すし屋の未来2050―」。陸上養殖、完全養殖など、気候変動、海洋環境の変化に左右されない先端技術で育てた水産物を「あしたのサカナ」シリーズとして提供している。
「陸上育ちの磯まもりウニ包み」を始め、〆サバや「ピカーラうなぎ(ニホンウナギと異なる東南アジア原産のピカーラ種)」「国産生アトランティックサーモン」など。これらが陸上養殖されている事実に驚かされる。養殖業が漁業の未来を支える産業として有望なことや、食材としての完成度の現在地をアピールする店となっている。
価格は、最も高価なウニ包みが1皿1カンで550円。「あしたのサカナ」以外も1皿が2カン160円〜と、回転すしとして決して安くはない。しかし、これからのすしや漁業の方向性を示唆した、まさに未来型の店舗となっている。
スシローの万博店では、デジタル上で回転すしを体験できる「デジロー(デジタル スシロービジョン)」を全席に設置。店舗限定として、水産資源の課題を学べるゲーム「UNI CATCH GAME(ウニキャッチゲーム)」も導入している。
同店の養殖ウニは、ウニノミクスという企業から調達したものだ。ウニノミクスは地球温暖化などの要因により、増えすぎたウニが藻場を食い荒らし、魚介類が住めなくなる「磯焼け」問題の解決を、事業の目的に据えている企業である。
磯焼けの解消にはウニの間引きが必要だが、そもそも磯焼けの海域に生息するウニは増えすぎのため餌が欠乏し、やせ細って身入りが悪く、売り物にならない。そのため磯焼けが放置され、健全な海の生態系を破壊しているわけだ。
そんな中、ウニノミクスではやせたウニを漁業者から買い取って、陸上の水槽に移し、十分な栄養を与えて高級食材として蘇生し販売している。藻場を守り、魚介類の個体数を回復させるとともに、ウニの特産物化との両立を目指している。
シャリに使う米は、農薬や化学肥料の使用を半分に抑えた環境保全米の、宮城県産ササニシキと北海道産ななつぼしを1対1で配合。世界のさまざまな食の禁忌を考慮して豚肉は使っていない。
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